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003 : 障害と剣
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大道芸が終わり休憩時間になると、私達はステージの前にロープを張り巡らせる作業に就いた。
格闘はこのロープの中で行われる。
中には、薄いマットのようなものを敷き詰めた。
こんな薄いマットではたいした保護にはならないだろうが、むきだしの床よりはそれでも少しはマシなのだろう。
出場者は気が立っているのか、注意事項を伝えただけでも声を荒げる。
今日は八組の試合があり、その中で勝ち抜いた者達が来週金曜の準々決勝戦に出場し、そこで勝ち抜いた二人が土曜日の準決勝、決勝戦で戦う。
今日の闘いは予選だから各三十分ずつしかないが、準決勝では一時間、決勝では二時間もの長い間闘うらしい。
技や強さだけではなくスタミナもなければ勝ち抜ける勝負ではない。
しかも、準決勝と決勝は同じ日にあるので、怪我でもすればとても不利になる。
そう言った所にもいろいろと気を配りながら対戦しなくてはならないわけだから、気が立つのも仕方のないことなのかもしれない。
やっと、全ての準備が整いほっと一息吐いた私の前をある男性が通り過ぎていった。
(リカールだ…!)
瞬時に私はそう直感した。
噂以上の男前だ。
いや、男とか女とかいう性別を超越した美しさというのか…
一瞬、自分の頬がかっと上気するのを感じた程だ。
美しいのはその顔立ちだけではない。
つま先から頭の先まで、まるで計算されて作り上げられたようなバランスの良さが感じられる。
全体的にとても上品な雰囲気が漂い、剣士というよりは芸術家のような印象を受けた。
「マルタン、あれが噂のリカールだ。
女達が騒ぐのも無理はないだろ?」
「あ、ジャックさん…やはりそうでしたか…
聞きしに勝る美貌ですね。
男性に美貌というのもおかしいかもしれませんが、しかし、本当に美しい…」
「深入りするなよ。
奴は、女だけじゃなくて男にもモテるからな。」
「だ、男性にもですか?
私にはそういう趣味はありませんよ。」
「奴は女だけじゃなくそういう趣味の男たちも彼を目当てにけっこう来てるんだぜ。
あんなにモテるくせに、女性客にはけっこう冷たいから奴もそっちの趣味があるんじゃないかと思ったが、そうでもないらしい。」
「そんなに冷たいんですか?」
「あぁ、本当かどうかは知らないけど、奴には心に決めた女がいるらしいって噂だぜ。
だから、言い寄って来る者達にも冷たいんだな、きっと。」
格闘はこのロープの中で行われる。
中には、薄いマットのようなものを敷き詰めた。
こんな薄いマットではたいした保護にはならないだろうが、むきだしの床よりはそれでも少しはマシなのだろう。
出場者は気が立っているのか、注意事項を伝えただけでも声を荒げる。
今日は八組の試合があり、その中で勝ち抜いた者達が来週金曜の準々決勝戦に出場し、そこで勝ち抜いた二人が土曜日の準決勝、決勝戦で戦う。
今日の闘いは予選だから各三十分ずつしかないが、準決勝では一時間、決勝では二時間もの長い間闘うらしい。
技や強さだけではなくスタミナもなければ勝ち抜ける勝負ではない。
しかも、準決勝と決勝は同じ日にあるので、怪我でもすればとても不利になる。
そう言った所にもいろいろと気を配りながら対戦しなくてはならないわけだから、気が立つのも仕方のないことなのかもしれない。
やっと、全ての準備が整いほっと一息吐いた私の前をある男性が通り過ぎていった。
(リカールだ…!)
瞬時に私はそう直感した。
噂以上の男前だ。
いや、男とか女とかいう性別を超越した美しさというのか…
一瞬、自分の頬がかっと上気するのを感じた程だ。
美しいのはその顔立ちだけではない。
つま先から頭の先まで、まるで計算されて作り上げられたようなバランスの良さが感じられる。
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「マルタン、あれが噂のリカールだ。
女達が騒ぐのも無理はないだろ?」
「あ、ジャックさん…やはりそうでしたか…
聞きしに勝る美貌ですね。
男性に美貌というのもおかしいかもしれませんが、しかし、本当に美しい…」
「深入りするなよ。
奴は、女だけじゃなくて男にもモテるからな。」
「だ、男性にもですか?
私にはそういう趣味はありませんよ。」
「奴は女だけじゃなくそういう趣味の男たちも彼を目当てにけっこう来てるんだぜ。
あんなにモテるくせに、女性客にはけっこう冷たいから奴もそっちの趣味があるんじゃないかと思ったが、そうでもないらしい。」
「そんなに冷たいんですか?」
「あぁ、本当かどうかは知らないけど、奴には心に決めた女がいるらしいって噂だぜ。
だから、言い寄って来る者達にも冷たいんだな、きっと。」
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