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003 : 障害と剣
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「すごい荷物じゃな。
市場に行って来たのか?」
屋敷に戻ると、庭の中でルイスと出会った。
「そうなんだ。
一週間分、まとめて買って来た。」
「食べることなんか心配せんでええんじゃ…
うちで食べたらええ。
今も夕飯に呼びに来たんじゃよ。」
「えっ、良いのか?」
「あぁ、今から作るのは大変じゃろ?
たいしたもんはないが、待っとるからな。」
「ありがとう!
じゃあ、酒だけ持っていくよ!」
「いらんいらん。
酒ならうちにいっぱいあるから、そんな気は遣わんでええんじゃ。」
私達はそのことをクロワ達に伝え、母屋を訪ねた。
広い屋敷の中には、ルイスとその妻・テレーズ、そして、出戻りの娘のマノンの三人で暮らしているとのことだった。
テレーズは、ルイスよりずいぶんと若く見える。
「こりゃあ、すごい!
爺さん、たいしたものはないなんて言ってて、すごいご馳走じゃないか!
それに、奥さんはずいぶん若いんだな!
あんたにゃもったいないぜ!」
「じ…爺さん…?」
ルイスの妻と娘は、リュックの物言いに驚いたような顔をしていた。
「ハッハッハッ
面白い奴じゃろ?」
笑うルイスの顔を見て、テレーズが納得したように頷いた。
「気難しいあなたが、離れを知らない人に貸したとおっしゃった時は驚いたけど…そういうことだったんですね。」
「えっ?この爺さんが気難しいって?」
「そんなことはありゃせん。
わしは、ただ媚びへつらう奴が嫌いなだけなんじゃ。」
この屋敷や闘技場から推測しても、ルイスはかなりの資産家だと思われる。
それゆえに、彼の周りにはへこへことへつらう奴や金を目当てに群がって来る者が多かったのだろう。
そんな彼にとっては、闘技場のオーナーだとわかっても態度を変えないリュックのことが新鮮に映ったのだろう。
それが、きっと彼なりの人を見る目なのだ。
「あぁ~、うまい!
本当に良い味付けしてるな。
これは奥さんが作ったのか?」
「ええ…私と娘とで作ったんですよ。
私達は、料理が趣味みたいなものなので…」
「へぇ…あんたと結婚した人は、毎日こんなうまい料理が食べれるんだな。」
「さっき言うたじゃろ。
この子は、結婚して一年ちょっとで戻って来たんじゃ。
どんなに料理がうまくても、相手がろくでなしじゃ意味はないんじゃ。」
市場に行って来たのか?」
屋敷に戻ると、庭の中でルイスと出会った。
「そうなんだ。
一週間分、まとめて買って来た。」
「食べることなんか心配せんでええんじゃ…
うちで食べたらええ。
今も夕飯に呼びに来たんじゃよ。」
「えっ、良いのか?」
「あぁ、今から作るのは大変じゃろ?
たいしたもんはないが、待っとるからな。」
「ありがとう!
じゃあ、酒だけ持っていくよ!」
「いらんいらん。
酒ならうちにいっぱいあるから、そんな気は遣わんでええんじゃ。」
私達はそのことをクロワ達に伝え、母屋を訪ねた。
広い屋敷の中には、ルイスとその妻・テレーズ、そして、出戻りの娘のマノンの三人で暮らしているとのことだった。
テレーズは、ルイスよりずいぶんと若く見える。
「こりゃあ、すごい!
爺さん、たいしたものはないなんて言ってて、すごいご馳走じゃないか!
それに、奥さんはずいぶん若いんだな!
あんたにゃもったいないぜ!」
「じ…爺さん…?」
ルイスの妻と娘は、リュックの物言いに驚いたような顔をしていた。
「ハッハッハッ
面白い奴じゃろ?」
笑うルイスの顔を見て、テレーズが納得したように頷いた。
「気難しいあなたが、離れを知らない人に貸したとおっしゃった時は驚いたけど…そういうことだったんですね。」
「えっ?この爺さんが気難しいって?」
「そんなことはありゃせん。
わしは、ただ媚びへつらう奴が嫌いなだけなんじゃ。」
この屋敷や闘技場から推測しても、ルイスはかなりの資産家だと思われる。
それゆえに、彼の周りにはへこへことへつらう奴や金を目当てに群がって来る者が多かったのだろう。
そんな彼にとっては、闘技場のオーナーだとわかっても態度を変えないリュックのことが新鮮に映ったのだろう。
それが、きっと彼なりの人を見る目なのだ。
「あぁ~、うまい!
本当に良い味付けしてるな。
これは奥さんが作ったのか?」
「ええ…私と娘とで作ったんですよ。
私達は、料理が趣味みたいなものなので…」
「へぇ…あんたと結婚した人は、毎日こんなうまい料理が食べれるんだな。」
「さっき言うたじゃろ。
この子は、結婚して一年ちょっとで戻って来たんじゃ。
どんなに料理がうまくても、相手がろくでなしじゃ意味はないんじゃ。」
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