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彼の事情

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「ただいま~…」

チャイムの音と機嫌の良い大きな声で、私は目を覚ました。



 「おかえり~!」

ママが出迎える声がした。



ふと柱の時計を見ると、もう二時を回ってた。
 深夜だけど、その日のうちに帰ってきたのは、きっとママを気遣ってのことだろう。
いや、気遣ってるわけじゃなくて、愛してるから?


しばらくすると、階段を昇ってくる足音がした。



 「望結、起きてる?」

ママの声に、私はゆっくりと身体を起した。



 「……何?」

 「瑠威がケーキ買って来てくれたんだけど、一緒にどう?」

 「ママ…もう二時過ぎてるんだよ…」

 「え?でも、明日はお休みでしょう?」

 「ママ…そういう問題じゃないから…」

 私は、不機嫌な顔で扉を閉めた。
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