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096. 極光(オーロラ)
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「そうだったんですか。
しかし、自然に囲まれた静かな良い町じゃあありませんか。」
「そんなこと位じゃあ、誰もこの町には来ちゃくれませんよ。」
「そういうものですかね…
…それで、オーロラはもう現れることはまったくないのですか?」
「それが、10年…いや、もっと前だな。
15年前程前だったか、1度だけ現れたんですよ。
だが、それからはまったくです。」
「なら、運が良ければ私も見られるかもしれませんね。」
「いや~、残念だがそいつは無理でしょうな。
なんたって15年前に現れたっきりなんですよ!」
「だからこそ、オーロラもそろそろまた姿を現したいと考えているのかもしれませんよ。」
「お客さんは面白いことをおっしゃいますな。」
私は次の日の夜、宿の主人に教えてもらったオーロラの丘を訪れた。
さすがに寒い…
こんな寒さの中、いつ現れるかもわからない…いや、現れる事があるかどうかさえわからないオーロラを見に来る者等、よほどの粋狂でないといるはずもない。
宿屋が閉めていくのも当然の話だ。
ところが、そんな所に人がいたのだ。
暗がりの中に、薄ぼんやりと白いものが見えた気がして私がランプの灯りを差し向けると、そこに女性の姿があったのだ。
「あっ!」
私は思わず声をあげた。
「…驚かせてごめんなさい。」
「いえ…私の方こそ…
失礼ですが、こんな所で何を…?」
女性は、不意に笑い出した。
「おかしいですわよね…
こんな夜遅くに、しかも、こんな寒い所で灯りもつけずにいるなんて…」
「………もしかして、あなたもオーロラを見に…?」
「あなたも…ってことは、あなたもそうなのかしら?」
「…えぇ…」
「驚いたわ。
私の他にもオーロラを見に来る人がいたなんて。
…とにかく、お座りなさいな。」
私は、彼女のそばに腰を降ろした。
しかし、自然に囲まれた静かな良い町じゃあありませんか。」
「そんなこと位じゃあ、誰もこの町には来ちゃくれませんよ。」
「そういうものですかね…
…それで、オーロラはもう現れることはまったくないのですか?」
「それが、10年…いや、もっと前だな。
15年前程前だったか、1度だけ現れたんですよ。
だが、それからはまったくです。」
「なら、運が良ければ私も見られるかもしれませんね。」
「いや~、残念だがそいつは無理でしょうな。
なんたって15年前に現れたっきりなんですよ!」
「だからこそ、オーロラもそろそろまた姿を現したいと考えているのかもしれませんよ。」
「お客さんは面白いことをおっしゃいますな。」
私は次の日の夜、宿の主人に教えてもらったオーロラの丘を訪れた。
さすがに寒い…
こんな寒さの中、いつ現れるかもわからない…いや、現れる事があるかどうかさえわからないオーロラを見に来る者等、よほどの粋狂でないといるはずもない。
宿屋が閉めていくのも当然の話だ。
ところが、そんな所に人がいたのだ。
暗がりの中に、薄ぼんやりと白いものが見えた気がして私がランプの灯りを差し向けると、そこに女性の姿があったのだ。
「あっ!」
私は思わず声をあげた。
「…驚かせてごめんなさい。」
「いえ…私の方こそ…
失礼ですが、こんな所で何を…?」
女性は、不意に笑い出した。
「おかしいですわよね…
こんな夜遅くに、しかも、こんな寒い所で灯りもつけずにいるなんて…」
「………もしかして、あなたもオーロラを見に…?」
「あなたも…ってことは、あなたもそうなのかしら?」
「…えぇ…」
「驚いたわ。
私の他にもオーロラを見に来る人がいたなんて。
…とにかく、お座りなさいな。」
私は、彼女のそばに腰を降ろした。
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