600 / 697
086. 途方に暮れる
4
しおりを挟む
「ど、ど、どうするのねん?
あの調子じゃどんなに誘ってもきっと真澄さんは出て来ないのねん。」
「そうだろうな…
仕方がない…
明日は、一日、真澄さんに貼りつくんだ!」
「貼りつく?」
世夜は深く頷き、計画を話し始めた。
おそらく、真澄さんは明日材料を買い出しに行くはずだ。
そこで偶然を装い、買い物の邪魔をする。
それでも、なんらかの方法で買い物をしてしまった場合には、その食材をなんとか始末する。
食材さえ揃わなければ、恐ろしいものは作れないのだから。
「なるほど!その通りね!」
「じゃあ、頑張って真澄さんの家の傍で張り込むのねん!」
*
「ふぁああああ~~…
いくらなんでも、早過ぎるんじゃないのん?」
「そんなこと言って、もしも24時間オープンのスーパーにでも行かれたらどうすんだ!」
「24時間スーパーはこのあたりにはないのねん。
それに真澄さんはこんな早くには起きないのねん。」
「遠くのスーパーまで行かないとも限らないだろ!
おまえ、あの恐ろしいものをまた食べたいのか!」
「ご、ごめん!俺、頑張るのねん!」
朝5時からの張りこみが始まった。
7時になってアヤが合流したが、結局、真澄さんが家から出て来たのは10時過ぎだった。
「……やっぱり早過ぎたのねん…
俺、腹が減ったのねん。」
「ぐずぐず言うな!
さぁ、後をつけるぞ!」
真澄さんが向かった先は、三人の推測通り近所の高級スーパーだった。
「やっぱりだ!
よし、声をかけて引き止めよう!」
スーパーの中で偶然を装った三人が真澄さんに近付く。
「わぁ、びっくり!
真澄さんなのねん!」
「……なんだ、君達…
こんな時間に世夜まで一緒とは珍しいな。
それに、どうしてこんな所に…?」
「そ…それは……」
「そ、それは、ほ、ほらっ!
チラシにこのスーパーで北海道物産展があるって書いてあったから、冷やかしっていうかなんていうか…」
店内を見渡し咄嗟に機転を利かせたアヤが取り繕う。
「お…俺、生キャラメルが食べたいなぁ…」
「バ、馬鹿だな、メリー!
あれは、地元でも簡単には手に入らないらしいぞ。
いくらなんでもここには売ってないだろう…
ま、真澄さんも、物産展を見に?」
「え……あ……あぁ、まぁ、そんな所だ。」
メリーの前でバースディケーキのことを言いたくないのか、真澄さんは曖昧にそう答えた。
「じゃあ、一緒に見るのねん。」
「あ…あぁ、そうだな。」
明らかに乗り気では無さそうな調子ではあったが、真澄さんは三人に同行する。
物産展を冷やかして時間を潰した所で、世夜が口を開いた。
「あ、もうそろそろ昼だな。
飯でも行くか?」
「うん、うん!
俺、おなか減ったのねん!」
「真澄さんも一緒に行くよね?」
「……そうだな。」
結局、スーパーでは何の買い物もしないままに四人は近所のファミレスに向かった。
あの調子じゃどんなに誘ってもきっと真澄さんは出て来ないのねん。」
「そうだろうな…
仕方がない…
明日は、一日、真澄さんに貼りつくんだ!」
「貼りつく?」
世夜は深く頷き、計画を話し始めた。
おそらく、真澄さんは明日材料を買い出しに行くはずだ。
そこで偶然を装い、買い物の邪魔をする。
それでも、なんらかの方法で買い物をしてしまった場合には、その食材をなんとか始末する。
食材さえ揃わなければ、恐ろしいものは作れないのだから。
「なるほど!その通りね!」
「じゃあ、頑張って真澄さんの家の傍で張り込むのねん!」
*
「ふぁああああ~~…
いくらなんでも、早過ぎるんじゃないのん?」
「そんなこと言って、もしも24時間オープンのスーパーにでも行かれたらどうすんだ!」
「24時間スーパーはこのあたりにはないのねん。
それに真澄さんはこんな早くには起きないのねん。」
「遠くのスーパーまで行かないとも限らないだろ!
おまえ、あの恐ろしいものをまた食べたいのか!」
「ご、ごめん!俺、頑張るのねん!」
朝5時からの張りこみが始まった。
7時になってアヤが合流したが、結局、真澄さんが家から出て来たのは10時過ぎだった。
「……やっぱり早過ぎたのねん…
俺、腹が減ったのねん。」
「ぐずぐず言うな!
さぁ、後をつけるぞ!」
真澄さんが向かった先は、三人の推測通り近所の高級スーパーだった。
「やっぱりだ!
よし、声をかけて引き止めよう!」
スーパーの中で偶然を装った三人が真澄さんに近付く。
「わぁ、びっくり!
真澄さんなのねん!」
「……なんだ、君達…
こんな時間に世夜まで一緒とは珍しいな。
それに、どうしてこんな所に…?」
「そ…それは……」
「そ、それは、ほ、ほらっ!
チラシにこのスーパーで北海道物産展があるって書いてあったから、冷やかしっていうかなんていうか…」
店内を見渡し咄嗟に機転を利かせたアヤが取り繕う。
「お…俺、生キャラメルが食べたいなぁ…」
「バ、馬鹿だな、メリー!
あれは、地元でも簡単には手に入らないらしいぞ。
いくらなんでもここには売ってないだろう…
ま、真澄さんも、物産展を見に?」
「え……あ……あぁ、まぁ、そんな所だ。」
メリーの前でバースディケーキのことを言いたくないのか、真澄さんは曖昧にそう答えた。
「じゃあ、一緒に見るのねん。」
「あ…あぁ、そうだな。」
明らかに乗り気では無さそうな調子ではあったが、真澄さんは三人に同行する。
物産展を冷やかして時間を潰した所で、世夜が口を開いた。
「あ、もうそろそろ昼だな。
飯でも行くか?」
「うん、うん!
俺、おなか減ったのねん!」
「真澄さんも一緒に行くよね?」
「……そうだな。」
結局、スーパーでは何の買い物もしないままに四人は近所のファミレスに向かった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる