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085. 帰る場所
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「ふぁ~、まだ眠たいのにぃ…
あ、あれ?あんた誰?」
「オレは、刃動だ。」
『マール、すまんがあそこの木陰に移動してくれないか?
そしたら、またしばらく眠ってていいから』
「わかった…」
寝ぼけ眼のマールが、おぼつかない足取りで少し離れた木陰に移動する。
「ここでええか?そしたら、俺、もう少し寝るで~」
マールは木陰に横になると同時に、再び夢の世界へ旅だったようだ。
「……お前もこんなんと一緒じゃ苦労してるんじゃないのか?」
『そうでもないぞ。至って平和だ。』
「…お前達はうまくいってるんだな…」
『ここなら、大丈夫だろう。
さぁ、話せ。』
刃動はぽつりぽつりと話しを始めた。
そのうちに、話の速度は少しずつ速まり、やがて止まらない勢いになっていく…
「それにな、あいつは…」
『……おまえ…
酒も飲んでいないのに、よくもそれだけしゃべれるもんだな…』
「当たり前だ!
今まで我慢に我慢を重ね…」
『我慢してたのか…?』
「………そ、そりゃあ、オレもこんな性格だから、ずっと黙ってるなんてことは出来ないが…」
『…だろうな。』
「だけど、なんで、このオレがあんな単細胞の従者なんだ。
バングルをみつけたってだけで、あいつに大きな顔してこき使われるのは許せねぇ!
もうあんな奴の所になんか戻らない!!」
『…結局、おまえもその主人と似てるってことだな。』
「あいつとオレが似てるだと!
どこが似てるんだ!」
『そういう単細胞な発言が似てるって言っているのだ。
どちらが主人で、どちらが従者等と言う事がそんなに重要なことか?
おまえは、その者を助けてやれた時に心がいやされるようなことはないか?』
「癒される…?」
『そうだ…和成とかいったな。
その和成が、お前に礼を言ったり喜んだりすることはないのか?』
「そ、そりゃああるけど…」
『そんな時、おまえはどう思う?』
「どうって……」
『私はそういう時、心が癒されるぞ。
人間がよくいう「幸せ」というものを感じられるぞ。』
「…………」
『それで良いではないか…』
刃動は黙ったままで、遠くをみつめていた。
あ、あれ?あんた誰?」
「オレは、刃動だ。」
『マール、すまんがあそこの木陰に移動してくれないか?
そしたら、またしばらく眠ってていいから』
「わかった…」
寝ぼけ眼のマールが、おぼつかない足取りで少し離れた木陰に移動する。
「ここでええか?そしたら、俺、もう少し寝るで~」
マールは木陰に横になると同時に、再び夢の世界へ旅だったようだ。
「……お前もこんなんと一緒じゃ苦労してるんじゃないのか?」
『そうでもないぞ。至って平和だ。』
「…お前達はうまくいってるんだな…」
『ここなら、大丈夫だろう。
さぁ、話せ。』
刃動はぽつりぽつりと話しを始めた。
そのうちに、話の速度は少しずつ速まり、やがて止まらない勢いになっていく…
「それにな、あいつは…」
『……おまえ…
酒も飲んでいないのに、よくもそれだけしゃべれるもんだな…』
「当たり前だ!
今まで我慢に我慢を重ね…」
『我慢してたのか…?』
「………そ、そりゃあ、オレもこんな性格だから、ずっと黙ってるなんてことは出来ないが…」
『…だろうな。』
「だけど、なんで、このオレがあんな単細胞の従者なんだ。
バングルをみつけたってだけで、あいつに大きな顔してこき使われるのは許せねぇ!
もうあんな奴の所になんか戻らない!!」
『…結局、おまえもその主人と似てるってことだな。』
「あいつとオレが似てるだと!
どこが似てるんだ!」
『そういう単細胞な発言が似てるって言っているのだ。
どちらが主人で、どちらが従者等と言う事がそんなに重要なことか?
おまえは、その者を助けてやれた時に心がいやされるようなことはないか?』
「癒される…?」
『そうだ…和成とかいったな。
その和成が、お前に礼を言ったり喜んだりすることはないのか?』
「そ、そりゃああるけど…」
『そんな時、おまえはどう思う?』
「どうって……」
『私はそういう時、心が癒されるぞ。
人間がよくいう「幸せ」というものを感じられるぞ。』
「…………」
『それで良いではないか…』
刃動は黙ったままで、遠くをみつめていた。
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