Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
581 / 697
083. 幻想の草原

しおりを挟む




 「ルークさんは今のお話をどう思われましたか?」

「どうって…そ、そりゃあ大変だなぁって…」

ランスロットの顔を見て、奴がそんな答えを期待していなかったことははっきりわかったけど、かといってどう答えれば良いのかは俺にはわかっていなかった。
なにしろ、エルフのジーニアスの話はとても衝撃的な内容だったのだから。

ジーニアスの話によると、あの笛は小人の村への扉を開くものではないらしい。
そもそも、エルフと小人達はその姿はずいぶん違うものの、源になるものは近く、言ってみれば親戚のような関係にあるらしい。
親戚っていうのは人間でもそうだけど、身内だからこそ難しいって関係でもある。
小人達っていうのはなにしろ悪戯好きで、それが度を越して周りに酷い迷惑をかける事もしばしばあるらしく、そんな時には決まってエルフが小人をたしなめるようにしていたらしい。
ある時、小人の悪戯のせいで人間の村が火事になったことがあったのだという。
幸い死者は出なかったものの、それはさすがに叱るだけで済むような悪戯ではない。
エルフの長は、小人達への戒めのため、小人の村の入口に結界を張り、一定の間、小人達が外へ出られないようにした。
結界の開かれた時、小人達はエルフの長とジーニアスを招き、宴を催した。
宴席で、小人達はこれからは心を入れ替え、酷い悪戯はしないと誓ったが、それは罠だった。
エルフの長に小人達は眠りの呪いをかけたのだという。
小人達は反省するどころか、エルフ達を逆恨みするようになってたんだな。
そして、その長を眠りから覚ますのが、砂の城に隠されていた目覚めの笛だということだった。



「ジーニアスさん、お話はよくわかりました。
あなたが嘘を吐いてらっしゃるようには思えませんが、ただ、わからないのは、なぜあなたはすぐに私達に接触されなかったかということです。
あなたなら、私達に話をしなくとも奪おうと思えばいつでも笛を奪えたのではありませんか?
なのになぜ…」

俺はランスロットの話を聞きながら、自分でも気付かないままに何度も頷いていた。
確かにそうだ。
エルフについて詳しく知ってるわけじゃあないが、人間にはない能力を持っていると聞く。
砂の城には入れなかったにしろ、それを持ち出した後ならいつだって奪えた筈だもんな。
ランスロットは普段はけっこうぼーっとしてるようなのに、こういう所は本当に鋭いと、改めて俺は感心していた。



「あなたの疑問はごもっともです。
まず、私達は元々争いを好まぬ性質だということ。
争わずとも取れますが、そういう泥棒のような真似はあまりしたくはなかったのです。
ですから、出来るなら正直に話して理解していただきたかったのと、それと…」

流暢に話していたジーニアスが不意に言葉を濁した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

処理中です...