Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
554 / 697
078. 異国の歌

しおりを挟む
次の日は、前日の雨のおかげでか、どこまでも澄みきった青い空に眩しい太陽が顔を見せていた。
今日はひさしぶりの休日。
アンナは、休日には午前中のうちに買い物をすませ、午後は家でたまった家事や雑用を済ませることに決めていた。
朝食を済ませたアンナは、早速近くの市場へ向かった。

何を買おうかと市場の中を見て回るアンナの足が突然止まった。



(あ……!!)



アンナは、小走りである男の後ろに駆け寄った。



「あ…あの…!」

その声に降り返ったのは、赤い顔をした背の高い男だった。



「あ…あなたは…」

「やっぱり…!
あの…昨日は、傘、ありがとうございました。
すごい土砂降りだったけど大丈夫でしたか?」

「あ…あぁ、僕なら大丈夫ですよ。」

その言葉とは裏腹に、男が発したのは息苦しそうな細い声だった。



「もしかしたら、あなた…」

アンナは、手を伸ばし男の額に手をあてた。



「やっぱり!すごい熱だわ。
昨日の雨のせいね…私が傘を借りてしまったから…」

「違いますよ。
もともと風邪気味だったんです。」

「こんなに熱があるのに出歩いちゃダメですよ!」

「そう思ったんですが、食べるものがなくて…」

「ご家族はいらっしゃらないんですか?」

「あいにくと僕は一人暮らしなんですよ。」

「まぁ…!
じゃあ、私に食事を作らせて下さい!」

「そんなこと…大丈夫です。
果物を買いましたから…」

「果物だけじゃ、元気になれません!
私のせいなんですから、そのくらいのことさせて下さい!」

アンナの勢いに負け、男性はアンナを自宅へ案内した。



「まぁ、うちからすぐ近くだったんですね!」



アンナは男性をベッドに寝かせると、身体の温まる料理を作り食べさせた。



そのことがきっかけとなり、二人は顔見知りから友人、そして恋人同士へと急速にその愛を育んで行った…


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

処理中です...