Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
539 / 697
076. 野望

しおりを挟む
「おぉぉぉぉ~~!!」

会場がうねるような大きなどよめきに包まれる中、舞台の上を胡燕はしずしずと優雅に歩いて行く。
東洋のキモノなる衣服をアレンジした「和風ヴィジュアル系」がコンセプトとなったその出で立ちは、個性的でインパクトの強いものだった。
薄く化粧を施した胡燕は、男性とも女性ともわからない妖しげな魅力に満ち溢れ、いつしか女性達の瞳はハート型に変わっていた。



「最後になって超イケメンが登場しましたね!
わぁ、お肌も透き通るみたいに綺麗ですね。
何か特別なお手入れでもなさってるんですか?」

胡燕は、その質問には答えずただ美しい微笑を返すだけだった。



「それは秘密ってことですね。
では、会場の皆さんへアピールをお願いします。」

胡燕は、会場に向かって、再び優雅な微笑を浮かべ頭を下げた。
ちょうど、その時、李雲からのウィンクの合図をみつけ、胡燕はゆっくりと片目を瞑る。



「きゃああーーーーーー!!」

ウィンクの飛ばされた方向の客席から、数十名の失神者が出たことに、李雲はほくそ笑む…



(これはイケる…!優勝間違いなしじゃ!!)



李雲の思惑通り、胡燕は何なく一次審査を通過した。
当然のことながら、楊俊も通過した十名の中に名を連ねていた。



「胡燕殿、次は水着審査ですぞ。
ささ、早くこれにお着替え下さい!」

胡燕は困惑の表情を浮かべつつ、李雲に手渡されたものを手にカーテンの裏へ入って行った。



「きゃあああーーーーー!」

場内から聞こえてきた黄色い歓声に、李雲が舞台の袖からそっと会場をのぞくと、そこには爽やかな海パン姿の楊俊が、小道具のサーフボードを抱えて立っていた。
日焼けした小麦色の肌に白い歯がきらりと輝く。



(楊俊様は今年もやはりさわやか路線で来ましたな。
これなら勝てる…絶対に…!)

李雲は、拳を握り締めてガッツポーズを決めると、不気味な笑みを浮かべた。



「次は、50番、胡燕さんの登場です!」

その名を聞いて、早くもファンになった女性達の黄色い歓声が飛び交った。
だが、胡燕が登場すると場内の歓声は静まり、低くどこか不気味な男性達の溜息に包まれた。
女性達は、目のやり場に困り、顔を赤らめながら両目を隠し、指の間から舞台そっとのぞき見る…

そんな中、真っ白な褌姿の胡燕がゆっくりと舞台の中央に進み出る。



(なんだ、なんだ、この異様な雰囲気は…皆、ひいてるのではないか?
……あぁ、早く終わってくれ…)

逃げ出したい想いをぐっと堪える胡燕の表情は憂いに満ち、筋肉質の細マッチョな身体の褌姿に
不思議な魅力を醸し出す。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

処理中です...