Gift

075. 仮面

７

次の朝、いつものように仮面をつけようとしたが、仮面は顔の上にに乗ったままだった。
いつもなら顔の中に吸い込まれていくのに、今日はそうならないのだ。

（なぜ？なぜなんだ？！）

マークは、キリーの店に走った。

「あ、あなたはこの前の…」

「キリーさん、仮面が…仮面がおかしいんです。
急に顔の中に入らなくなったんです！
もしかしたら壊れたんでしょうか？！」

「あぁ…そういうことですか…
それなら『終わった』んですよ。」

「………終わった…？」

「そうです。
その仮面は、持ち主が仮面を必要としなくなったら、その役目を終えるのです。」

「そんな！僕にはまだこの仮面が必要なのに…
これから、イヴとつきあうって時にこの仮面がなくなったら…」

キリーは笑った。

「何がおかしいんです？！」

「マークさん、あなた、ご自分では何も気が付いてらっしゃらないんですね。」

「何に気が付いてないというんですか？」

「あなたはあんな仮面等なくても、自分のなりたかった自分をすでに手に入れたのですよ。」

「そんな、まさか…」

「その証拠にあなたは仮面がなくても今もそんなにしっかりと話されてるではありませんか。
その他にもあなたは仮面の力を借りずとも成し得たことがあるはずです。
そうでなければ、仮面の役目は終わりませんから…」

「あ……」

「マークさん、自信をお持ちなさい。
あなたは変わったんですよ…」

「……キリーさん…ありがとう！！」

マークは、家に走った。
仮面は思い出のために壁に飾っておくことにした。



（今までどうもありがとう…僕はもう大丈夫だ…）



仮面にそう声をかけ、マークは職場に向かって走り出した。