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ルカ(聖夜月ルカ)

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074. 盗賊

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「旦那様、どういうことなんです?」

「ネイサン…私とこの男の顔を良く見てみたまえ。」

「え…?」

ネイサンは、男とアレンの顔を交互に見比べた。



「非常に良く似てらっしゃる…
ご親族ですか?」

アレンはゆっくりと首を振った。



「この男は…私だ。」

「……今、なんと?
一体、どういうことです?」

「……この男は若い頃の私だ。」

「えっ!?そ、そんな馬鹿な…!」

アレンは大きな溜め息を吐き出した。



「私は若い頃、ある貴族の娘に恋をした。
一目惚れだった。
だが、貧しく、何の取柄もない私に、その娘が振り向いてくれるはずがない。
諦めかけていた時、私はふとした偶然からある魔法使いを助けた。
その魔法使いはとても義理堅い者で、私に助けを申し出てくれたんだ。
魔法使いは、私に魔法の肖像画をくれた。
金持ちになった未来の私の肖像画をな。
そして、将来、その娘と結婚し、金持ちになったら、若い頃の私の肖像画を描かせて、屋敷に飾るように言われたんだ。」

「まだ俺には意味が良くわかりませんが…」

ネイサンがそう言うと、今度は若い男が口を開いた。



「ある時…未来の肖像画が光り輝いていた。
どうしたんだろうと近付いてみたら、俺は、その絵に吸い込まれ、気が付いたらどこかの大きな屋敷にいたんだ。
そう、つまり、この屋敷だ。
俺はこの屋敷から宝石や金を盗み、それで彼女の気を引いた。
屋敷の外は見張りでいっぱいだが、まさか俺が屋敷の中に飾られてる絵の中から出て来てると気付く奴はいなかったから、本当に楽だった。
しかも、その甲斐あって、彼女はずいぶんと俺になびいて来た。
きっと、俺は近々彼女と結婚出来るだろう。」

「それは間違いない。
すでに、こうして私は彼女と結婚しているのだから。
しかし、なんということだろう…
私は昔のことをこんなにもすっかり忘れていたとは…」

ネイサンは困惑した顔で、二人の会話を聞いていた。



「ややこしいけど…えっと…つまり…
お二人は、同一人物…ということですか?」

「その通りだ。
ネイサン…どうか、今回のことは誰にも話さないでほしい。」

「は、はい、わかりました。」



その後、アレンの屋敷に泥棒が現れることはぴたりとなくなった。
その理由を知るのは、アレンとネイサンだけである…
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