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073. 伊達と酔狂
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「お客さん、お目が高い!
その古伊万里は17世紀初めのものでね。
滅多に出ない逸品だよ。」
長めの茶髪は、緩やかにウェーブが付き、耳には煌くダイヤのピアス…
その表情は昼間の太陽のように明るく眩しい。
「……はぁ?」
年配のお客の表情は、男とは逆に、不機嫌なものだった。
絡みつくような視線で、男のなりをじろじろとみつめる。
「あんたに古伊万里の何がわかるって言うんだ?
店主を呼べ、店主を。」
「店主ならここにいるんだけど…
一応、この店、俺の店だからさ。」
男は、そう言ってにっこりと微笑んだ。
「なんだって?
そうか、わかった。
大方、親が金持ちで、放蕩息子に手を焼いてこんな店を持たされたんだな。
あんたみたいな若造と話なんか出来ない。
またにするよ。」
年配の客は、店主に背を向けた。
「えー…せっかく来たんだから、もうちょっと見て行けば?
けっこう良いものあるんだよ。」
「いや……」
その時、ガラガラと戸が開いて、中年の男が店に入って来た。
「あっ!」
年配の客は、その男の顔を見て目を丸くした。
「あ、あなた、もしや山岸慎太郎先生では?」
「いかにも、山岸です。」
「なぜ、先生がこんな店に?」
「こんなとは手厳しい。
ここは、私の弟子の店でしてな。」
「えっ!?弟子?」
年配の客は、驚いた様子で店主の方に向き直った。
「この者はうちの店で5年働き、とても研究熱心でしてな。
元々、非常にカンの良い子で、覚えも早く、大変優秀な弟子なのです。」
「えっ!?この人が??」
驚くお客に、店主はVサインを示した。
その古伊万里は17世紀初めのものでね。
滅多に出ない逸品だよ。」
長めの茶髪は、緩やかにウェーブが付き、耳には煌くダイヤのピアス…
その表情は昼間の太陽のように明るく眩しい。
「……はぁ?」
年配のお客の表情は、男とは逆に、不機嫌なものだった。
絡みつくような視線で、男のなりをじろじろとみつめる。
「あんたに古伊万里の何がわかるって言うんだ?
店主を呼べ、店主を。」
「店主ならここにいるんだけど…
一応、この店、俺の店だからさ。」
男は、そう言ってにっこりと微笑んだ。
「なんだって?
そうか、わかった。
大方、親が金持ちで、放蕩息子に手を焼いてこんな店を持たされたんだな。
あんたみたいな若造と話なんか出来ない。
またにするよ。」
年配の客は、店主に背を向けた。
「えー…せっかく来たんだから、もうちょっと見て行けば?
けっこう良いものあるんだよ。」
「いや……」
その時、ガラガラと戸が開いて、中年の男が店に入って来た。
「あっ!」
年配の客は、その男の顔を見て目を丸くした。
「あ、あなた、もしや山岸慎太郎先生では?」
「いかにも、山岸です。」
「なぜ、先生がこんな店に?」
「こんなとは手厳しい。
ここは、私の弟子の店でしてな。」
「えっ!?弟子?」
年配の客は、驚いた様子で店主の方に向き直った。
「この者はうちの店で5年働き、とても研究熱心でしてな。
元々、非常にカンの良い子で、覚えも早く、大変優秀な弟子なのです。」
「えっ!?この人が??」
驚くお客に、店主はVサインを示した。
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