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ルカ(聖夜月ルカ)

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070. 光りさす庭

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(ここか……こりゃあ噂以上の場所だな…)

タイラーは、目の前に広がる光景に小さな溜息を吐いた。



(俺も馬鹿なことをしたもんだ…)

タイラーは、今にも冷たい雨粒を落としそうな灰色の空を疎ましげに見上げた。



数週間前、ふと立ち寄った町の酒場で耳にしたおかしな噂が事の発端だった。

ある所に、不思議な場所がある。
そこには「願いの番人」と呼ばれるものがおり、困難な道を通りぬけてそこに辿りついた者はどんな願いでも叶えてもらえる。
しかし、そこで口にされる願いは常に同じもので、その願いが叶った者は願いが叶ったことに気付かない…

そんな馬鹿げたものだった。



「それって、一体どういう意味なんだ?
もっとわかりやすく教えてくれよ!」

タイラーは尋ねたが、誰もその答えを教えてはくれなかった。
要するに、その噂はとても曖昧なもので、詳しいことを知る者がいなかったのだ。
いや、そもそもそんなものは愚にも付かない噂話だ。
詳しいことを知ろうと思う事自体が、愚かなことなのだとタイラーは考えた。



その晩の帰り道、タイラーは小柄な初老の男に声をかけられた。
男は先程の酒場におり、タイラーに話かける機会をうかがっていたようだ。



「あんた…さっきの話が気になってたみたいだね。」

「さっきの…?
あぁ、願いの番人がどうこうってあの話か?」

「……あんた、その場所に行ってみる気はないかね?」

「そうだな。
場所がはっきりわかれば行っても良いな。」

「本当か?!」

タイラーは、男の尋常ではない態度に、顔を強張らせた。
男は異様に光る真剣な眼差しで、タイラーをみつめている。



「な、なんだよ、爺さん。
あんた、まさかその場所を知ってるとでもいうのか?」

男は、タイラーを見据えたまま、深く頷いた。



「まさか……」

「詳しいことは、うちで話そう。
うちはすぐ、そこなんだ。」

タイラーは、男に促されるままに彼の家についていった。
男の家は、曲がり角を曲がってすぐの所にあった。

 
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