Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
484 / 697
068. 狂熱の骸

しおりを挟む
「お伺いしても良いですか?
あなたはなぜこんなにも熱い骨になってしまわれたのです?」

『ずいぶんと率直な質問だな。』

「お気を悪くされたらすみません。」

『なんだ、なんだ。
あんた、骨に気を遣ってくれるのか…?
まったくおかしな人だな…』

骨は私の言葉に微笑んだような気がした。
もちろん、それは、私の気のせいなのだろうが…



『俺はな…
生まれつき、感情的というのか、なんというのか…自分の感情をいつも押さえることが出来なかった。
こう…!と思うと、その通りにしないとおさまりがつかないというのか…
それしか見えなくなっちまう…
それがそんなに悪い事だと思うかい?』

「いえ…それほど悪い事だとは思いませんが…」

『俺も悪いなんて思っちゃいない。
だが、そう思わない奴もいたんだ。
俺は、ある女を好きになった。
一目惚れってやつだ。
本当に一目見ただけで、好きになってしまったんだ。
俺はその想いをすぐに伝え、女に結婚を申し込んだ。
だが、その女は好きな人がいると言って俺の気持ちを受け入れてはくれなかった。
もちろん、そんなことでは俺は諦めなかったさ。
何度も何度も、彼女に自分の想いを伝えた。
しかし、ある時…俺は、彼女の恋人に刺されてあっという間に死んでしまったんだ。
その上、俺はそのまま崖下に投げ捨てられた…
どう思う?こんな酷い話があるか?
俺は、あの男を憎んだ。
憎んで憎んで、これ以上憎みきれないほど憎んだ。
そして、あの女の事も憎んだ。
元はといえば、あの女が俺のことを焦らすからこんなことになったんだからな。
なのに…その反面で俺は、いまだにあの女の事が愛しくてたまらない…!!
死んでからも片時も忘れる事が出来ないんだ…
それがもう苦しくて苦しくて…忘れてしまいたいのに忘れられず、俺は死んだというのにあの世にも行けず、ずっと苦しい想いをしているんだ。』

骨が話をすると、さっきよりも伝わる熱さが増して来た。

おそらくこの骨の男は、若いうちに命を落としたのだろう。
しかし、いくら若かったとはいえ、なんと一人よがりな考え方なのだろう…
身勝手な憎しみと愛情の念が、この骨をこれほどまでに熱くたぎらせているということなのか…? 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?

ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。 しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。 しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

処理中です...