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ルカ(聖夜月ルカ)

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066. 人形

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(あ~あ……)

肩をすぼめ、アンヌは枯れ葉の絨毯を踏みしめながら歩いていた。

目に停まるのは幸せそうなカップルばかり…



2週間程前に友達のミシェルが結婚した。

ミシェルにつきあってる人がいることさえ知らされていなかったアンヌは、信じられない想いで結婚式の話を聞いた。

(一体、いつの間に…友達だと想ってたのに、今までずっと教えてくれなかったなんて、ひどい!)

アンヌは自分がそれほど美しくないことは子供の頃からわかっていた。
でも、特に醜いという程ではない。
現に、好意を持ってくれる人も今までに何人かいた。
ただ、長続きしなかっただけ…

ミシェルは、自分と比べてもほぼ変わらないレベルの人間だと思いこんでいたから、彼女には他の友達以上に親近感のようなものを抱いていた。

しかし、見てくれも、頭の程度もセンスや趣味も、ミシェルには特にひけをとってはいないと思っていたのに、ミシェルが結婚した相手はとても端正な顔立ちのスマートな男性だった。

アンヌがつきあった男達とは比べ物にならない程に…

(なぜ、ミシェルはあんな素敵な人と…)



周りの友達はとうとうみんな結婚してしまった。

自分だけが取り残されたというアンヌの想いはいつしか逆恨みに近いものにまで発展していた。

そういう気持ちから結婚した友達とも会うことはなくなり、最近のアンヌはいつも1人ぼっちだった。



(あら、あんな所にお店なんてあったかしら…?)

アンヌの瞳に、ある一軒の店が映った。
薄汚れて曇ったショーウィンドウには雑貨類が並んでいるようだ。

アンヌはなんとなくその店に興味をひかれ、店に近付いていく。

曇ったガラス越しに見える雑貨は、どれも流行遅れのつまらないものばかりだった。
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