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054. 潜む影
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「爺さん、これを見たら驚くだろうなぁ…
なんせ、絶対に取れないと思いこんでたもんな。
確かにこれは俺みたいな…」
「しっ!」
突然、ランスロットが人差し指を口許に当てて、ぴたりと足を止めた。
「どうかしたのか?」
奴は、俺の質問には答えないまま、素早い動きで後ろを振り返る。
そして、いつものあいつとは少し違った鋭い視線で、あたりを見渡した。
「……私の勘違いだったのか…」
「勘違い…?一体、なにがどうしたっていうんだ?」
「ルークさん、何も感じられませんでしたか?
砂の城を離れてから、どうも誰かに尾行けられてるような気がしたのですが…」
「本当か?」
ランスロットの言葉が気になり、俺もあたりを見てみたが、そこらには猫の子一匹いなかった。
それも当然のこと、ここは砂漠なのだから。
「……気のせいなんじゃないか?」
「そうでしょうか…
確かに何者かの気配を感じたのですが…」
ランスロットはまだ納得がいかないようで、腕を組み、小首を傾げて砂漠をみつめていた。
この男は、どうも、考えすぎる傾向があるようだ。
そうかと思うと、信じられない程抜けてるし、俺はいまだにこいつのことがよくわからない。
もしかしたら、宝物がみつかったことで神経が高ぶってるのかもしれないな。
「ほら、どこをみてもこのあたりは砂ばっかりだ。
誰もいやしない。
そんなことより、まずはどこかで腹ごしらえをしよう。
それと熱い風呂にも入りたいな。
身体中、砂まみれになっちまった。」
ランスロットは、まだ砂漠に未練があるようだったが、俺は奴の袖をひっぱり無理やリ歩き出した。
「もしも、誰かが俺達の後を尾行ているのなら、そいつはきっと町までも着いて来るだろう?
こんな砂漠より、町の方がみつけやすいんじゃないか?」
俺はとにかく腹が減っていたから、そんな適当なことを言ったんだけど、ランスロットは意外な程、素直に納得してくれた。
おかげで、俺は暗くなる前に砂漠から一番近い町に着くことが出来た。
なんせ、絶対に取れないと思いこんでたもんな。
確かにこれは俺みたいな…」
「しっ!」
突然、ランスロットが人差し指を口許に当てて、ぴたりと足を止めた。
「どうかしたのか?」
奴は、俺の質問には答えないまま、素早い動きで後ろを振り返る。
そして、いつものあいつとは少し違った鋭い視線で、あたりを見渡した。
「……私の勘違いだったのか…」
「勘違い…?一体、なにがどうしたっていうんだ?」
「ルークさん、何も感じられませんでしたか?
砂の城を離れてから、どうも誰かに尾行けられてるような気がしたのですが…」
「本当か?」
ランスロットの言葉が気になり、俺もあたりを見てみたが、そこらには猫の子一匹いなかった。
それも当然のこと、ここは砂漠なのだから。
「……気のせいなんじゃないか?」
「そうでしょうか…
確かに何者かの気配を感じたのですが…」
ランスロットはまだ納得がいかないようで、腕を組み、小首を傾げて砂漠をみつめていた。
この男は、どうも、考えすぎる傾向があるようだ。
そうかと思うと、信じられない程抜けてるし、俺はいまだにこいつのことがよくわからない。
もしかしたら、宝物がみつかったことで神経が高ぶってるのかもしれないな。
「ほら、どこをみてもこのあたりは砂ばっかりだ。
誰もいやしない。
そんなことより、まずはどこかで腹ごしらえをしよう。
それと熱い風呂にも入りたいな。
身体中、砂まみれになっちまった。」
ランスロットは、まだ砂漠に未練があるようだったが、俺は奴の袖をひっぱり無理やリ歩き出した。
「もしも、誰かが俺達の後を尾行ているのなら、そいつはきっと町までも着いて来るだろう?
こんな砂漠より、町の方がみつけやすいんじゃないか?」
俺はとにかく腹が減っていたから、そんな適当なことを言ったんだけど、ランスロットは意外な程、素直に納得してくれた。
おかげで、俺は暗くなる前に砂漠から一番近い町に着くことが出来た。
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