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052. ただ欲しいと思っただけ
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「もう大丈夫だな!」
山に入ってしばらくすると、グラッジは足首まであるローブと三角帽子を脱ぎ捨て、いつもの黒尽くめの服装を着替えた。
「やっぱり、これじゃなきゃな。
しかし、服装だけで魔術士かどうか判定するなんて、あまりにセキュリティが弱いんじゃないか?」
「こんなズルをする者はまずいませんから、それで大丈夫なんですよ。」
「魔術士ってのは真面目なんだな。
あんたは例外ってわけか…まぁ、良い。
じゃあ、ここからあんたは荷物運び。
魔物は俺が倒すから、俺の傍から離れないようにな。」
「は、はいっ!」
それからしばらく登って行くと、道の脇から最初の魔物が飛び出て来た。
グラッジは、目にも止まらぬ俊敏さで魔物を斬り付ける。
魔物は叫び声を上げる間もなく、息絶えた。
鋭い鉤爪を持つトカゲに似た魔物だった。
「す…すごいっ!
僕には、魔物が出て来たことさえわかりませんでした…」
「俺は剣士だぜ。
気配でわかるってもんさ。
あんな雑魚ばっかりなら楽なんだが、そうはいかないだろうなぁ…」
それからも二人の前には幾多もの魔物が出現したが、グラッジは小さな蟻を踏み潰すかのようにそれらをいとも簡単に叩き斬って行く。
「いやに雑魚が多いな。
どうした?疲れたのか?そういや、腹が減って来たな。
少しあそこの洞窟で休んで昼飯でも食うか?」
向かった洞窟の入口付近には三人の亡骸が折り重なるように倒れていた。
それを見るなリ、女のように甲高い悲鳴をあげ、シモンはグラッジの後ろに回りこむ。
「おいおい、何やってんだ。
ただの亡骸だぜ。」
「ただの…って…」
青ざめ震えるシモンはとても昼食など食べられるはずもなく…
グラッジは、シモンの分まで綺麗にたいらげた。
「じゃあ、行くか。」
満腹になったグラッジは、腹ごなしだと言いながら、バッタバッタと魔物を倒す。
荷物を抱えたシモンはその光景に目を見張りながら、ちょこまかとグラッジの後を黙って着いて行くだけだ。
山に入ってしばらくすると、グラッジは足首まであるローブと三角帽子を脱ぎ捨て、いつもの黒尽くめの服装を着替えた。
「やっぱり、これじゃなきゃな。
しかし、服装だけで魔術士かどうか判定するなんて、あまりにセキュリティが弱いんじゃないか?」
「こんなズルをする者はまずいませんから、それで大丈夫なんですよ。」
「魔術士ってのは真面目なんだな。
あんたは例外ってわけか…まぁ、良い。
じゃあ、ここからあんたは荷物運び。
魔物は俺が倒すから、俺の傍から離れないようにな。」
「は、はいっ!」
それからしばらく登って行くと、道の脇から最初の魔物が飛び出て来た。
グラッジは、目にも止まらぬ俊敏さで魔物を斬り付ける。
魔物は叫び声を上げる間もなく、息絶えた。
鋭い鉤爪を持つトカゲに似た魔物だった。
「す…すごいっ!
僕には、魔物が出て来たことさえわかりませんでした…」
「俺は剣士だぜ。
気配でわかるってもんさ。
あんな雑魚ばっかりなら楽なんだが、そうはいかないだろうなぁ…」
それからも二人の前には幾多もの魔物が出現したが、グラッジは小さな蟻を踏み潰すかのようにそれらをいとも簡単に叩き斬って行く。
「いやに雑魚が多いな。
どうした?疲れたのか?そういや、腹が減って来たな。
少しあそこの洞窟で休んで昼飯でも食うか?」
向かった洞窟の入口付近には三人の亡骸が折り重なるように倒れていた。
それを見るなリ、女のように甲高い悲鳴をあげ、シモンはグラッジの後ろに回りこむ。
「おいおい、何やってんだ。
ただの亡骸だぜ。」
「ただの…って…」
青ざめ震えるシモンはとても昼食など食べられるはずもなく…
グラッジは、シモンの分まで綺麗にたいらげた。
「じゃあ、行くか。」
満腹になったグラッジは、腹ごなしだと言いながら、バッタバッタと魔物を倒す。
荷物を抱えたシモンはその光景に目を見張りながら、ちょこまかとグラッジの後を黙って着いて行くだけだ。
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