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ルカ(聖夜月ルカ)

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051. 黄金の竪琴

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「何もそこまで意地を張らなくても、途中で帰れば良かったじゃないか。」

「仰る通りです。しかし、私達は引き際を逃してしまったのです。
…本当に馬鹿だったと思います。
でも、やっと今日…マシューさんのおかげでこの長かった賭けが終わったのです…」

「…故郷に帰るのかい?」

「ええ…もう私達を待つ人はいませんが…両親に報告するつもりです。
やっと、わかってくれた人がいたことを…
……マシューさん、どうか、この竪琴を受けとっていただけませんか…?」

「ま、まさか…こんな貴重なものを…」

マシューは、目を大きく見開いて差し出された名工の竪琴をみつめていた。


「貴重なものではありますが、わしらはもう演奏会をするつもりもありませんし、しなければならない意味もなくなりましたから…」

「でも、俺、さっきの演奏すっごく楽しかったぜ!
楽器がどうこうっていうのは俺には全然わからないけど、なんかこう…元気が出て来たような…
あ、俺はいつも元気か?!」

「ハハハ…
そう言っていただけるとわしらも嬉しいですよ。
この竪琴のせいでこんなにも長い間の時間を旅に費やしてしまいましたが…
でも、いやな想い出だけではないのです。
わしらは演奏することが好きですし、皆の喜ぶ顔を見るのが楽しみでもあったのですよ…」

「そのお気持ちは私にもよくわかりますよ。
では、これからは私がこの竪琴を弾きながらあなた方が今までやってこられたように町の人々を楽しませていきたいと思います。」

「ありがとう、マシューさん、
これで、わしらも安心して引退出来ます。」

「ところで、その黄金の竪琴はどうするんだ?」

「これは、私達の父の形見です。
楽器としての価値はありませんが、私達にとってはとても大切なものですから、これからも大切にしていこうと思います…」

「そうか、じゃあ、気を付けてな~!」

俺達は手を振りあって別れた。

爺さん達もこれでやっと家に帰れるんだな…
あのマシューって奴の演奏もいつか聴いてみたいもんだな…

…あ!!……しまった…!!
大切なことを聞くのを忘れてた!

「爺さ~ん!待ってくれ~!!
俺、聞きたいことがあったんだ~!!」

俺は爺さん達を追って話を聞いたが、残念ながら俺の知りたかった情報は聞けなかった。

仕方がない。
また、旅を続けよう!
今度はどんな出来事に巡り合えるか…楽しみだな! 
 
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