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ルカ(聖夜月ルカ)

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050. 過去・現在・未来

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「しょうがない人ね。
少し苦味があるからバレるんじゃないかと思ってたけど、そんなことにも気が付かないなんて…」

「ドリーン…」

「舌がもつれて来た?」

「なぜ…こんな…ことを?」

「あなたを殺すためよ…」

ドリーンは鋭い刃先のナイフをビリーの目の前に見せつけた。



「な…なぜ…」

「あなた…子供の頃、隣にあなたより2つ年上の女の子がいたことをまるで覚えてないのね…」

「誰の…ことだ…?」

「あなたが好きだったマイケルさん家のドリーンよ。」

「ド…ドリーン?!」

ビリーの瞳が大きく見開かれた。



「そう…ドリーンは、子供の頃、喘息の発作をよく起こしてたから、母親の実家にいたことが多かったの。
母親の実家は田舎で近くには一緒に遊べるような子供もいなかった。
口うるさく躾に厳しい祖父母と一緒にいると息がつまりそうで、ドリーンはそこにいるのがいやでたまらなかったけど、空気が良いからってことで、両親はドリーンがそこにいることが一番良いと思ってたのね…」

「まさ…か…」

「小学校に入る頃、やっと両親のいる町に戻ったんだけど、そこへ行くとすぐに発作が起きて、ドリーンはまたあのいやな祖父母の家に戻されたの。
しばらくすると弟が生まれて、それからは両親がドリーンに会いに来る機会はずっと少なくなったわ。
ドリーンは両親を一人占めしてる弟が大嫌いだったから、会う度に影で苛めてたわ。
そのうち、両親は不仲になって、母親が実家にいることが多くなった。
父親と会えない事は寂しかったけど、それでも、母と一緒にいられることがドリーンは嬉しかったのよ…
そのうち、両親が正式に離婚したこと、そしてしばらくして父が隣の人と再婚したことを知ったわ。
でも、ドリーンはそんなことなんとも思わなかった。
これで母親とずっと一緒にいられる…それが嬉しかったのね…
でも、そうじゃなかった。
母親はいつもでかけて、何日も帰って来ない事もよくあった。
母は別れてからもずっと父のことを調べていたみたい。
やがて、母は、父の新居を発見した。
そして…父親を刺し…母もその場で…」

ドリーンは自分の話に感極まったのか、ぽろぽろと大粒の涙を零していた。



「ドリーンはまたひとりぼっちに戻ったわ。
それからの祖父母は、今まで以上にドリーンに辛くあたるようになった。
娘のしでかしたことが町中にも知れ渡ったのだもの…仕方ないわよね…
ドリーンが13歳の時、祖父母はドリーンを置いてどこかに引っ越して行ったわ。
家も売りに出されてたから、しばらくすると住む場所もなくなった…
それからのドリーンの暮らしは酷いものだったわ。
年を偽って夜の町で人には言えないような商売をして…
何度も死のうとしたけど、いつも失敗ばかりだった。
そのうち、ドリーンは考えたの。
こんな人生になったのは、母から父親を奪ったあの女のせい…
その女に復讐をすることが自分の生きる目的だとドリーンは悟ったの。」
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