Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
343 / 697
050. 過去・現在・未来

11

しおりを挟む
「ごめんよ、ドリーン…
なぁ、今夜は夫婦水入らずで飲もう…な…」

ドリーンは黙ってキッチンの方に歩いていったかと思うと、すぐに酒の瓶の乗ったワゴンを押しながら戻って来た。



「何飲む?」

「俺ならなんでも良いよ。」

ドリーンとビリーは、二人でグラスを傾けた。
ドリーンは早いペースでグラスを空けていく。



「ドリーンは酒が強いんだな。」

「なによ、今更…
そんなこと、前から知ってるでしょ?」

「ま、まぁ、そうだけどな…
なぁ、ドリーン…
何か将来『こうなりたい!』ってことはあるか?
たとえば…子供がほしいとか…もっと大きな家に住みたい…とか…」

「そんなことはどうでも良いことだわ。」

「じゃあ…どんなことだ?
何か1つくらいあるだろう?」

「そうね…両親に会いたいわ。
両親と私の三人で仲良く幸せに暮らしたい…」

「おまえの両親って…」

「忘れたの?
両親は遠くに住んでて、ずっと会ってないって言ったでしょ?」

「あ…あぁ、そうだったな。
でも、三人ってのはひどいじゃないか!
俺はどうなるんだ?」

「馬鹿ね…あなたが死んでしまったらって話よ。
あなたが死んだら、私は両親の所に行きたいってそれだけの話…
だって、一人じゃ寂しいじゃない…」

「おまえこそ馬鹿だな。
俺はおまえを残して死んだりしないよ。
もっと他に望みはないのか?」

「ないわよ。」

「欲のない女だな。
ドリーン、俺、ちょっと酔ったみたいだ。
少し横になってくるよ。」

そう言って、ビリーは一人寝室に入ると、将来のカードに願いを書き入れた。

「俺が死んだら、ドリーンが両親の所に行けるように」



願い事は自分自身のことでなくても良いのかどうかわからなかったが、少し酔っていたこともあり、とにかくそう書き入れた。



(叶わない願い事だと、次の日白紙に戻るって言ってたもんな。
だめならまた書き直せば良い…)

ビリーはカードを枕の下に滑りこませた。



(なんか、具合が悪いな…飲みすぎたか…)

ビリーは身体がこわばるような感覚を感じていた。



「ビリー…大丈夫?」

「なんか、ちょっと具合が悪いんだ…
俺、そんなに飲んでたか?」

「いいえ…それはきっとお酒のせいじゃないわ。」

「え…?」

「お酒に混ぜた痺れ薬のせいよ。」

ドリーンの口許に不敵な笑みが浮かんだ。



「なんだって…?!
ドリーン、何を言ってるんだ?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

処理中です...