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046. 血の盟約
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それからのアルヴィンはめきめきと頭角を現していった。
他の悪魔達からも、一目置かれる存在となっていた。
ルシファーとの関係も至って順調で、この状況は一生続くものと誰もが信じていた。
しかし、そんなある日、予想外のことが起きてしまった。
ルシファーを討つことに命を賭したコンジュラシオンが、その命と引き換えに彼の実体を滅ぼしてしまったのだ。
ルシファー自身はどこかに逃げ延びたと思われたが、ようとしてルシファーの行方はわからなかった。
そのうちに、悪魔の間ではある噂が真しやかに流れ始める。
「ルシファーは、アルヴィンを新しい器として使うつもりらしい。」
どこから出た話なのかはわからない。
しかし、肉体の美しさ、能力、知力、経験…
どれをとっても、自分がその器として最適だと思えるだけに、その話の信憑性は高いもののようにアルヴィンには思えた。
ルシファーの器になるということ…それはすなわち自分の死を意味する…
(いやだ…私は…まだ死にたくない!!)
とはいえ、ルシファーに身体を乗っ取られたら、それに抗う事はまず不可能だと思われた。
いくら実体をなくしていても、ルシファーはルシファーだ。
敵う者等いない…
いや、実体をなくしてるからこそ、ルシファーはさらに必死になっている筈…
そう考えると、アルヴィンには生き延びる術はないように思われた。
(諦めるしかないのか…
せっかくここまで来て、結局、私はルシファー様に殺されるしかないのか…)
絶望の中で、ある時、アルヴィンの頭の中に閃光が光った。
*
「どなたです?
……お…おまえは…」
扉を開けた途端、イアンの表情が変わり、その扉を再び閉めようとした。
「ま、待って下さい、イアン牧師!
今日は、あなたにお願いがあって参りました。」
「私にお願い…?」
イアンは鋭い眼差しでアルヴィンの瞳をじっとのぞきこむ。
じっと何かを考えているようだったが、一時置いてイアンは静かに口を開いた。
「悪魔のおまえが教会を訪ねるとはよほどのことなのでしょう…
お入りなさい。
話を聞きましょう。」
アルヴィンはこともあろうに、悪魔の天敵のコンジュラシオンであるイアン牧師に救いを求めたのだ。
他の悪魔達からも、一目置かれる存在となっていた。
ルシファーとの関係も至って順調で、この状況は一生続くものと誰もが信じていた。
しかし、そんなある日、予想外のことが起きてしまった。
ルシファーを討つことに命を賭したコンジュラシオンが、その命と引き換えに彼の実体を滅ぼしてしまったのだ。
ルシファー自身はどこかに逃げ延びたと思われたが、ようとしてルシファーの行方はわからなかった。
そのうちに、悪魔の間ではある噂が真しやかに流れ始める。
「ルシファーは、アルヴィンを新しい器として使うつもりらしい。」
どこから出た話なのかはわからない。
しかし、肉体の美しさ、能力、知力、経験…
どれをとっても、自分がその器として最適だと思えるだけに、その話の信憑性は高いもののようにアルヴィンには思えた。
ルシファーの器になるということ…それはすなわち自分の死を意味する…
(いやだ…私は…まだ死にたくない!!)
とはいえ、ルシファーに身体を乗っ取られたら、それに抗う事はまず不可能だと思われた。
いくら実体をなくしていても、ルシファーはルシファーだ。
敵う者等いない…
いや、実体をなくしてるからこそ、ルシファーはさらに必死になっている筈…
そう考えると、アルヴィンには生き延びる術はないように思われた。
(諦めるしかないのか…
せっかくここまで来て、結局、私はルシファー様に殺されるしかないのか…)
絶望の中で、ある時、アルヴィンの頭の中に閃光が光った。
*
「どなたです?
……お…おまえは…」
扉を開けた途端、イアンの表情が変わり、その扉を再び閉めようとした。
「ま、待って下さい、イアン牧師!
今日は、あなたにお願いがあって参りました。」
「私にお願い…?」
イアンは鋭い眼差しでアルヴィンの瞳をじっとのぞきこむ。
じっと何かを考えているようだったが、一時置いてイアンは静かに口を開いた。
「悪魔のおまえが教会を訪ねるとはよほどのことなのでしょう…
お入りなさい。
話を聞きましょう。」
アルヴィンはこともあろうに、悪魔の天敵のコンジュラシオンであるイアン牧師に救いを求めたのだ。
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