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043. 妾腹の王族
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アンドレアスとイングリッドが結婚したのは、二人がまだ11歳と9歳の時のことだった。
親同士が決めたもので、そこには欠片程の愛情もなかった。
イングリッドと一緒にいる時間が長くなればなるほど、アンドレアスは妃のことを不快に感じるようになっていた。
わがままで高慢で無慈悲なイングリッドは、アンドレアスが最も嫌いな人格をしていた。
二人の間には共通の話題さえない。
同じものを見ても、二人の感じ方はまるで違うものだった。
しかし、アンドレアスにはそれをどうすることも出来なかった…
イングリッド王女の母国は、戦を重ねる度に国土を広げ強大になった国だ。
だが、国としての歴史も浅く、それ以上に他国からの評判も良くない。
アルタナ国は、それとは真逆の国だった。
歴史も古く、歴代の国王も人格者として人望の厚い王ばかりだった。
イングリッドの父は自分にはないものを求め、イングリッドとアンドレアスの結婚を望んだ。
しかし、アンドレアスの父たる国王がそんなことを了承するはずがなかった。
国王は、アンドレアスがまだ子供だということを理由に断り続けた。
理由はそれだけではなかったが、賢明な国王はそのことを口にすることはなかった。
イングリッドの父親は、それでも諦めることなく幾度となく結婚を迫って来たが、どうしても了承しない国王に対し、ついにその怒りを爆発させた。
イングリッドと結婚させなければ、アルタナ国に戦を仕掛けると言ってきたのだ。
戦になれば、多くの犠牲者が出る。
国王は、国民のためを考え、とうとうその縁談を受け入れた。
結婚して十数年後、二人の間にカイラが生まれた。
アンドレアスは、これで国王としての義務は果たした…そう思った。
イングリッドとの結婚にそんなからくりがあったことを知らされたのは、カイラが生まれた後のことだった。
元々、イングリッドに対して愛情はなかったが、いつしかそんな気持ちは憎悪にも近いものとなっていた。
しかし、自分が彼女と別れる等と言い出せば、イングリッドの母国がアルタナ国に攻め入って来るかもしれない。
それを思うと、アンドレアスにはどうすることも出来ない。
ただ一つ出来ることといえば、出来るだけイングリットを避ける事。
やがて、二人は公の場以外では口をきくことさえなくなっていった。
イングリッドには若い将校の愛人がいることをアンドレアスは知っていたが、それを咎めることもしなかった。
却ってその方が都合が良い。
自分への興味など失って、自ら去ってくれれば良いと考えていた。
親同士が決めたもので、そこには欠片程の愛情もなかった。
イングリッドと一緒にいる時間が長くなればなるほど、アンドレアスは妃のことを不快に感じるようになっていた。
わがままで高慢で無慈悲なイングリッドは、アンドレアスが最も嫌いな人格をしていた。
二人の間には共通の話題さえない。
同じものを見ても、二人の感じ方はまるで違うものだった。
しかし、アンドレアスにはそれをどうすることも出来なかった…
イングリッド王女の母国は、戦を重ねる度に国土を広げ強大になった国だ。
だが、国としての歴史も浅く、それ以上に他国からの評判も良くない。
アルタナ国は、それとは真逆の国だった。
歴史も古く、歴代の国王も人格者として人望の厚い王ばかりだった。
イングリッドの父は自分にはないものを求め、イングリッドとアンドレアスの結婚を望んだ。
しかし、アンドレアスの父たる国王がそんなことを了承するはずがなかった。
国王は、アンドレアスがまだ子供だということを理由に断り続けた。
理由はそれだけではなかったが、賢明な国王はそのことを口にすることはなかった。
イングリッドの父親は、それでも諦めることなく幾度となく結婚を迫って来たが、どうしても了承しない国王に対し、ついにその怒りを爆発させた。
イングリッドと結婚させなければ、アルタナ国に戦を仕掛けると言ってきたのだ。
戦になれば、多くの犠牲者が出る。
国王は、国民のためを考え、とうとうその縁談を受け入れた。
結婚して十数年後、二人の間にカイラが生まれた。
アンドレアスは、これで国王としての義務は果たした…そう思った。
イングリッドとの結婚にそんなからくりがあったことを知らされたのは、カイラが生まれた後のことだった。
元々、イングリッドに対して愛情はなかったが、いつしかそんな気持ちは憎悪にも近いものとなっていた。
しかし、自分が彼女と別れる等と言い出せば、イングリッドの母国がアルタナ国に攻め入って来るかもしれない。
それを思うと、アンドレアスにはどうすることも出来ない。
ただ一つ出来ることといえば、出来るだけイングリットを避ける事。
やがて、二人は公の場以外では口をきくことさえなくなっていった。
イングリッドには若い将校の愛人がいることをアンドレアスは知っていたが、それを咎めることもしなかった。
却ってその方が都合が良い。
自分への興味など失って、自ら去ってくれれば良いと考えていた。
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