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038. 星の乙女
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それからも、キップは町に行く度、花屋に行って白い薔薇の花を買った。
そのうち、彼女とも顔見知りになれた。
彼女のことも少しずつ知る事が出来た。
彼女は「ネリネ」という名前で、キップより2つ年上だった。
町の近くに一人で住んでるらしい。
彼女のことについて知ることが増えていくと、さらに彼女への想いが深まっていく。
最近では、畑仕事をしている時にも彼女のことを考えてしまう始末だ。
(ネリネ…
君はどんな人が好きなんだろう…?
もう好きな人はいるんだろうか?
週に一度しか会えないなんて、寂し過ぎるよ…
……あ…雨だ…)
ぼっとしていたせいか、空が暗くなってたことにもキップは気が付いてはいなかった。
「キップ、今日はもう無理そうだな。
早く帰らないと、ずぶ濡れになっちまうぞ!」
「そうだな。
急いで帰らなきゃ…」
作業をしていた二人は、激しくなる雨の中を、家に向かって走り出した。
家に帰り、濡れた服を着替えて、温かいお茶を飲みながら、キップはまたテーブルの白い薔薇をじっとみつめる。
(ネリネ…今頃どうしてるのかなぁ?
この雨じゃ、お客もそんなにいないだろうし…
そうだ!もしかしたら、こんな日だったらいつもよりネリネと長く話せるかも…)
キップは、家の外へ飛び出した。
町に向かって…ネリネのいる花屋へ向かって…
そして、花屋へ飛びこんだ。
「いらっしゃい。
まぁまぁ、こんな雨の中、大変でしたね。
何をさしあげましょうか?」
そう言ったのはネリネではなく、店の女主人だった。
「えっと…あの、白い薔薇を…」
「はいはい、薔薇ですね。」
「あの…今日はネリネは…?」
「今、休憩時間ですから…あら?こんな雨の中、あの娘ったらどこへ行ったんだろうね…」
(せっかく来たのに…)
白い薔薇を抱えながら、キップは自分の不運を呪ってた。
そんな時、店の裏に人影をみつけ、なにげなく目を向けると、そこにいたのはネリネと見知らぬ男性だった。
二人はとても打ち解けた様子で、とても楽しそうに話をしている。
そのうち、ネリネはその男性の首に手を回し、抱きついたのだ。
(…………!!)
キップの心臓はいつもの倍くらい速い速度で動き始めた。
咄嗟に背を向け、キップは走り出した。
薔薇の花束も傘もその場に放り出して…
そのうち、彼女とも顔見知りになれた。
彼女のことも少しずつ知る事が出来た。
彼女は「ネリネ」という名前で、キップより2つ年上だった。
町の近くに一人で住んでるらしい。
彼女のことについて知ることが増えていくと、さらに彼女への想いが深まっていく。
最近では、畑仕事をしている時にも彼女のことを考えてしまう始末だ。
(ネリネ…
君はどんな人が好きなんだろう…?
もう好きな人はいるんだろうか?
週に一度しか会えないなんて、寂し過ぎるよ…
……あ…雨だ…)
ぼっとしていたせいか、空が暗くなってたことにもキップは気が付いてはいなかった。
「キップ、今日はもう無理そうだな。
早く帰らないと、ずぶ濡れになっちまうぞ!」
「そうだな。
急いで帰らなきゃ…」
作業をしていた二人は、激しくなる雨の中を、家に向かって走り出した。
家に帰り、濡れた服を着替えて、温かいお茶を飲みながら、キップはまたテーブルの白い薔薇をじっとみつめる。
(ネリネ…今頃どうしてるのかなぁ?
この雨じゃ、お客もそんなにいないだろうし…
そうだ!もしかしたら、こんな日だったらいつもよりネリネと長く話せるかも…)
キップは、家の外へ飛び出した。
町に向かって…ネリネのいる花屋へ向かって…
そして、花屋へ飛びこんだ。
「いらっしゃい。
まぁまぁ、こんな雨の中、大変でしたね。
何をさしあげましょうか?」
そう言ったのはネリネではなく、店の女主人だった。
「えっと…あの、白い薔薇を…」
「はいはい、薔薇ですね。」
「あの…今日はネリネは…?」
「今、休憩時間ですから…あら?こんな雨の中、あの娘ったらどこへ行ったんだろうね…」
(せっかく来たのに…)
白い薔薇を抱えながら、キップは自分の不運を呪ってた。
そんな時、店の裏に人影をみつけ、なにげなく目を向けると、そこにいたのはネリネと見知らぬ男性だった。
二人はとても打ち解けた様子で、とても楽しそうに話をしている。
そのうち、ネリネはその男性の首に手を回し、抱きついたのだ。
(…………!!)
キップの心臓はいつもの倍くらい速い速度で動き始めた。
咄嗟に背を向け、キップは走り出した。
薔薇の花束も傘もその場に放り出して…
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