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038. 星の乙女
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「アストレイヤ様、私は今、二人の男性から求婚されております。
木こりの男と雑貨屋の男です。
私は、どちらを選べば幸せになれるのでしょうか…?」
そばかすだらけの町娘がすがるような瞳でみつめるのは、アストレイヤと呼ばれる女性…
絹糸のようなしなやかな長い金髪に湖のように深い藍をした瞳…そこから下は薄いヴェールに覆われているが、たいそう美しい女性であることはヴェール越しにもよくわかった。
煌びやかな衣裳を身に付けたアストレイヤは、さながら地上の星のようだ。
町娘の話を聞いたアストレイヤは、両手を組み、顔を空に向け一心に祈りを捧げているように見える。
しばらくすると隣にいた男に何事かをそっと耳打ちをする。
「星からのお告げが出ました。
そのどちらとも結婚せず、あと1年待つように…
その時、本当にあなたにふさわしい方が現れる…とのことです。」
「私の運命の相手はどちらでもないのですね!
わかりました。
あと1年待ってみます。
アストレイヤ様、本当にありがとうございました!!」
町娘は、上気した顔でアストレイヤに頭を下げると祠を出て行った。
*
ここは星の乙女・アストレイヤのお告げ所。
お告げを求めて、遠くの町や村から大勢の人々がやって来る。
しかし、アストレイヤのお告げが受けられるのは一晩に一人だけ。
抽選によって決められた幸運なただ一人だけなのだ。
しかも、雨の日は中止となる。
雨の日は星とのコンタクトが取れないからだという理由からだった。
アストレイヤの星のお告げは百発百中。
どんなことでもピタリと当ててしまう。
だからこそ、アストレイヤのお告げを聞きに来る者は、後を断たないのだ。
アストレイヤは夜にしか人前に姿を現さない。
しかも、薄暗い祠の中でヴェールをかぶった姿だけ。
昼間は祠の近くの家にこもり、一歩も外へは現れない。
だから、アストレイヤがどんな女性なのかは誰も知る者はいない。
声すらも聞いたものはいない謎の女性なのだ。
木こりの男と雑貨屋の男です。
私は、どちらを選べば幸せになれるのでしょうか…?」
そばかすだらけの町娘がすがるような瞳でみつめるのは、アストレイヤと呼ばれる女性…
絹糸のようなしなやかな長い金髪に湖のように深い藍をした瞳…そこから下は薄いヴェールに覆われているが、たいそう美しい女性であることはヴェール越しにもよくわかった。
煌びやかな衣裳を身に付けたアストレイヤは、さながら地上の星のようだ。
町娘の話を聞いたアストレイヤは、両手を組み、顔を空に向け一心に祈りを捧げているように見える。
しばらくすると隣にいた男に何事かをそっと耳打ちをする。
「星からのお告げが出ました。
そのどちらとも結婚せず、あと1年待つように…
その時、本当にあなたにふさわしい方が現れる…とのことです。」
「私の運命の相手はどちらでもないのですね!
わかりました。
あと1年待ってみます。
アストレイヤ様、本当にありがとうございました!!」
町娘は、上気した顔でアストレイヤに頭を下げると祠を出て行った。
*
ここは星の乙女・アストレイヤのお告げ所。
お告げを求めて、遠くの町や村から大勢の人々がやって来る。
しかし、アストレイヤのお告げが受けられるのは一晩に一人だけ。
抽選によって決められた幸運なただ一人だけなのだ。
しかも、雨の日は中止となる。
雨の日は星とのコンタクトが取れないからだという理由からだった。
アストレイヤの星のお告げは百発百中。
どんなことでもピタリと当ててしまう。
だからこそ、アストレイヤのお告げを聞きに来る者は、後を断たないのだ。
アストレイヤは夜にしか人前に姿を現さない。
しかも、薄暗い祠の中でヴェールをかぶった姿だけ。
昼間は祠の近くの家にこもり、一歩も外へは現れない。
だから、アストレイヤがどんな女性なのかは誰も知る者はいない。
声すらも聞いたものはいない謎の女性なのだ。
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