Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
246 / 697
038. 星の乙女

しおりを挟む
「アストレイヤ様、私は今、二人の男性から求婚されております。
木こりの男と雑貨屋の男です。
私は、どちらを選べば幸せになれるのでしょうか…?」

そばかすだらけの町娘がすがるような瞳でみつめるのは、アストレイヤと呼ばれる女性…
絹糸のようなしなやかな長い金髪に湖のように深い藍をした瞳…そこから下は薄いヴェールに覆われているが、たいそう美しい女性であることはヴェール越しにもよくわかった。
煌びやかな衣裳を身に付けたアストレイヤは、さながら地上の星のようだ。

町娘の話を聞いたアストレイヤは、両手を組み、顔を空に向け一心に祈りを捧げているように見える。

しばらくすると隣にいた男に何事かをそっと耳打ちをする。



「星からのお告げが出ました。
そのどちらとも結婚せず、あと1年待つように…
その時、本当にあなたにふさわしい方が現れる…とのことです。」

「私の運命の相手はどちらでもないのですね!
わかりました。
あと1年待ってみます。
アストレイヤ様、本当にありがとうございました!!」

町娘は、上気した顔でアストレイヤに頭を下げると祠を出て行った。







ここは星の乙女・アストレイヤのお告げ所。
お告げを求めて、遠くの町や村から大勢の人々がやって来る。
しかし、アストレイヤのお告げが受けられるのは一晩に一人だけ。
抽選によって決められた幸運なただ一人だけなのだ。
しかも、雨の日は中止となる。
雨の日は星とのコンタクトが取れないからだという理由からだった。
アストレイヤの星のお告げは百発百中。
どんなことでもピタリと当ててしまう。
だからこそ、アストレイヤのお告げを聞きに来る者は、後を断たないのだ。

アストレイヤは夜にしか人前に姿を現さない。
しかも、薄暗い祠の中でヴェールをかぶった姿だけ。
昼間は祠の近くの家にこもり、一歩も外へは現れない。
だから、アストレイヤがどんな女性なのかは誰も知る者はいない。
声すらも聞いたものはいない謎の女性なのだ。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

処理中です...