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032. 指輪
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ところが次の日、シルヴィには予想もしなかったことが起こったのだ。
それは、シルヴィがコーヒーをいれようとしていた時だった。
「あ、シルヴィ」
「エクトル…!…あなたもコーヒー、飲む?」
「あぁ、お願いするよ。
……ねぇ、シルヴィ、ダンスのパートナーはもう決まったの?」
「え…わ…私はまだ…」
「本当に?!じゃあ、明後日は僕と踊ってよ!」
「えっ!だって、あなたはミネットと…」
「ミネットとは関係ない!彼女のことは良いんだ、もう!
じゃあ、約束だよ!」
「え……」
(エクトルが私をパートナーに選んでくれた…!!)
信じられない想いだった。
しかし、それは夢でもなんでもなく、その話は瞬く間に会社中に広まった。
次の日、シルヴィはダンスパーティのためのドレスを見に行った。
あるものですませようと考えていたが、相手がエクトルとなればそんなわけにはいかない。
(素敵!!)
シルヴィはショーウィンドウのドレスに目を奪われた。
それはなめらかな生地で作られた上品なピンク色のドレスだった。
これなら、誰に見られても恥ずかしくない…!
だが、そのドレスの値段は、とてもシルヴィに手が届くものではなかった。
(指輪さん…あのドレスがほしいわ…
もう少し安くならないかしら…
いくらなんでも、そんなこと無理よね。
パーティはもう明日なんですもの…)
諦めたシルヴィは他の店を見てまわったが、先ほどのドレスのことが頭から離れず、またあの店に戻って来てしまっていた。
(友達にお金を借りればなんとかなるかしら…
でも、あんな高いドレス…私にはやっぱり贅沢過ぎるわよね…
たった一度のパーティのために、あんな高いドレスを買うなんていけないことだわ…)
そんなことを考えながら歩いていたシルヴィは、ショーウィンドウのあのドレスがなくなっていることに気が付いた。
気が付くと同時にシルヴィは店の中へ駆け込んでいた。
「あ、あの…さっきまでここにあったピンクのドレスは売れてしまったんですか?」
「あぁ、あれならもう売り物にはならないんです。
店の者がうっかりマネキンを倒してしまって…ほら、ここが破れて…」
店の奥から持ってこられたドレスの綻びはとても小さなものだった。
しかも、レースで隠れる部分なので言われなければわからない程のものだ。
それは、シルヴィがコーヒーをいれようとしていた時だった。
「あ、シルヴィ」
「エクトル…!…あなたもコーヒー、飲む?」
「あぁ、お願いするよ。
……ねぇ、シルヴィ、ダンスのパートナーはもう決まったの?」
「え…わ…私はまだ…」
「本当に?!じゃあ、明後日は僕と踊ってよ!」
「えっ!だって、あなたはミネットと…」
「ミネットとは関係ない!彼女のことは良いんだ、もう!
じゃあ、約束だよ!」
「え……」
(エクトルが私をパートナーに選んでくれた…!!)
信じられない想いだった。
しかし、それは夢でもなんでもなく、その話は瞬く間に会社中に広まった。
次の日、シルヴィはダンスパーティのためのドレスを見に行った。
あるものですませようと考えていたが、相手がエクトルとなればそんなわけにはいかない。
(素敵!!)
シルヴィはショーウィンドウのドレスに目を奪われた。
それはなめらかな生地で作られた上品なピンク色のドレスだった。
これなら、誰に見られても恥ずかしくない…!
だが、そのドレスの値段は、とてもシルヴィに手が届くものではなかった。
(指輪さん…あのドレスがほしいわ…
もう少し安くならないかしら…
いくらなんでも、そんなこと無理よね。
パーティはもう明日なんですもの…)
諦めたシルヴィは他の店を見てまわったが、先ほどのドレスのことが頭から離れず、またあの店に戻って来てしまっていた。
(友達にお金を借りればなんとかなるかしら…
でも、あんな高いドレス…私にはやっぱり贅沢過ぎるわよね…
たった一度のパーティのために、あんな高いドレスを買うなんていけないことだわ…)
そんなことを考えながら歩いていたシルヴィは、ショーウィンドウのあのドレスがなくなっていることに気が付いた。
気が付くと同時にシルヴィは店の中へ駆け込んでいた。
「あ、あの…さっきまでここにあったピンクのドレスは売れてしまったんですか?」
「あぁ、あれならもう売り物にはならないんです。
店の者がうっかりマネキンを倒してしまって…ほら、ここが破れて…」
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しかも、レースで隠れる部分なので言われなければわからない程のものだ。
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