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029. 外つ国の遺産(とつくにのいさん)
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「じゃあ、行って来るね!」
それから約一か月後…隣町にでも行くような軽やかさで、チャックは母親に手を振った。
母は、複雑な感情を胸に、小さく手を振り返した。
(わぁ、大きな船だなぁ…)
大きな港から出向するルドラの国行きの船は、チャックが未だ乗ったことのないような大きな船だった。
チャックは船を見上げ、期待に胸を膨らませながらにこりと微笑む。
「ちょっと、あんた…」
不意に聞こえた声に、チャックは振り返った。
そこには、黒いローブをまとった陰気な印象の女性がいた。
「……僕ですか?」
チャックは、恐る恐る女性に問いかけた。
「そうだよ。あんた、この船に乗るつもりかい?」
「はい、そうですが…」
「お止し…あんたは外国に行ったら危険な目に遭うよ。」
「……あなた、何なんです?
もしかして、母さんに言われてそんなことを…?」
「違う…私はあんたの母さんなんて知らない。
ただ、あんたの顔に凶相が…」
「つまらないことを言わないで下さい。
僕はこのひと月というもの、一生懸命働いてこの船賃を稼いだんです。
なんと言われても、僕はこの船に乗ります!」
強い口調でそう言うと、チャックは船のタラップを上がって行った。
それから約一か月後…隣町にでも行くような軽やかさで、チャックは母親に手を振った。
母は、複雑な感情を胸に、小さく手を振り返した。
(わぁ、大きな船だなぁ…)
大きな港から出向するルドラの国行きの船は、チャックが未だ乗ったことのないような大きな船だった。
チャックは船を見上げ、期待に胸を膨らませながらにこりと微笑む。
「ちょっと、あんた…」
不意に聞こえた声に、チャックは振り返った。
そこには、黒いローブをまとった陰気な印象の女性がいた。
「……僕ですか?」
チャックは、恐る恐る女性に問いかけた。
「そうだよ。あんた、この船に乗るつもりかい?」
「はい、そうですが…」
「お止し…あんたは外国に行ったら危険な目に遭うよ。」
「……あなた、何なんです?
もしかして、母さんに言われてそんなことを…?」
「違う…私はあんたの母さんなんて知らない。
ただ、あんたの顔に凶相が…」
「つまらないことを言わないで下さい。
僕はこのひと月というもの、一生懸命働いてこの船賃を稼いだんです。
なんと言われても、僕はこの船に乗ります!」
強い口調でそう言うと、チャックは船のタラップを上がって行った。
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