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027. 昏き理(くらきことわり)
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「あ、ごめんなさい。」
私は、登校途中でわざとある少年にぶつかり、そしてわざと携帯を落として走りぬけて行く。
いかにも、学校に遅れそうで必死になっているふりをして…
「あ、君!携帯…!」
その声ははっきりと私の耳に届いてはいたけれど、私は気付かないふりをして後ろも振り返らずに走り続けた。
これはある意味、賭けでもあった。
もしも、彼がワルい奴だったら…
携帯をどんな風に使われるかわからない。
でも、彼はきっとそんな人じゃない…
何の根拠もなく、私はそう信じきっていた。
それはただの理想だったのかもしれないけど、信じない事には私の計画は先に進まないのだから…
学校に着いて席に着くや否や、可奈が私の所に駆け寄って来た。
「水青(みなお)、あんた、携帯どうかした?」
可奈はおはようも言わずに携帯を片手に私にそんなことを言って来た。
「携帯…?なんで?どうもしないよ?!」
私はそう言いながら、そこにはあるはずのない携帯を探すふりをして制服のポケットをまさぐった。
「あれっ?」
さらに今度はかばんの中に手を突っ込んで慌てているそぶりをした。
「……もしかして…携帯、ないの?」
「おかしいな…持って来たはずなんだけど、忘れてきたみたい…」
すると、可奈は黙って私の顔の前に受信メールの画面を差し出した。
「この携帯を拾った者です。
多分、友達だと思うから、連絡してあげて下さい。」
「あ…」
良かった…思った通りの人だった…と、一安心した。
おそらく、私の携帯の受信メールを見て、可奈にメールを送って来てくれたのだろう。
「そうだ!さっき、ぶつかった人がいて…あの時に落としたんだ…!」
「あんたって本当にトロイ!
でも、ま、良かったじゃない。
連絡してくれて…」
「可奈、ちょっと携帯貸して!」
私はすぐに自分のメールアドレスに返信した。
拾ってくれたお礼を打ち、帰りに待ち合わせて携帯を返してもらう約束をこぎつけた。
…そう、ここまではすべて私の計算通り…
私は、登校途中でわざとある少年にぶつかり、そしてわざと携帯を落として走りぬけて行く。
いかにも、学校に遅れそうで必死になっているふりをして…
「あ、君!携帯…!」
その声ははっきりと私の耳に届いてはいたけれど、私は気付かないふりをして後ろも振り返らずに走り続けた。
これはある意味、賭けでもあった。
もしも、彼がワルい奴だったら…
携帯をどんな風に使われるかわからない。
でも、彼はきっとそんな人じゃない…
何の根拠もなく、私はそう信じきっていた。
それはただの理想だったのかもしれないけど、信じない事には私の計画は先に進まないのだから…
学校に着いて席に着くや否や、可奈が私の所に駆け寄って来た。
「水青(みなお)、あんた、携帯どうかした?」
可奈はおはようも言わずに携帯を片手に私にそんなことを言って来た。
「携帯…?なんで?どうもしないよ?!」
私はそう言いながら、そこにはあるはずのない携帯を探すふりをして制服のポケットをまさぐった。
「あれっ?」
さらに今度はかばんの中に手を突っ込んで慌てているそぶりをした。
「……もしかして…携帯、ないの?」
「おかしいな…持って来たはずなんだけど、忘れてきたみたい…」
すると、可奈は黙って私の顔の前に受信メールの画面を差し出した。
「この携帯を拾った者です。
多分、友達だと思うから、連絡してあげて下さい。」
「あ…」
良かった…思った通りの人だった…と、一安心した。
おそらく、私の携帯の受信メールを見て、可奈にメールを送って来てくれたのだろう。
「そうだ!さっき、ぶつかった人がいて…あの時に落としたんだ…!」
「あんたって本当にトロイ!
でも、ま、良かったじゃない。
連絡してくれて…」
「可奈、ちょっと携帯貸して!」
私はすぐに自分のメールアドレスに返信した。
拾ってくれたお礼を打ち、帰りに待ち合わせて携帯を返してもらう約束をこぎつけた。
…そう、ここまではすべて私の計算通り…
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