148 / 697
023. 宝物
4
しおりを挟む
「そんなのトレジャー・ハンターには関係ないじゃないか!
魔法の鍵は絶対、僕がみつける!」
「魔法の鍵をみつけるのは私よ!」
この離れは取り壊されるのだからということで、ジェシカは宝箱を半ば無理矢理に持って帰った。
そのことを境に、ジェシカはクライドと遊ばなくなった。
しばらくして別荘に行ってみると離れは取り壊され、クライドは町へ帰ってしまっていた。
それから、歳月は流れ、ジェシカは宝箱のこともクライドのこともいつの間にか忘れていた。
ところが、ジェシカが17歳のある時、母に頼まれて屋根裏の片付けを手伝っていた時にあの宝箱をみつけたのだ。
(そうだ…!この宝箱は…!)
あの時の記憶が昨日のことのようにまざまざとよみがえり、ジェシカはまるで長い間忘れていた自分の使命を思い出したような気分になっていた。
それからのジェシカの行動は素早かった。
テキパキと旅支度を整える。
最早、顔もはっきりとは思い出せない程の相手との昔話に、なぜここまで心が動くのかはわからなかったが、とにかくジェシカの心は決まってしまったのだ!
(みつけなきゃ!
魔法の鍵をみつけるのは絶対私なんだから!!
クライドになんか負けないわ!)
そして、気が付けばこんなことになってしまったというわけだ…
十数年経っても噂話さえ聞かない魔法の鍵…
そんなものは元々存在しないのかもしれない…
クライドもあんな昔の話を覚えているはずもない…
そう思うこともあったが、それでもやっぱりやめられない!
いつの日か、魔法の鍵をみつけてあの宝箱を開けてやる!
彼女のその想いは揺るがない…!
それだけではなく、実は今の暮らしが好きだから…
(よ~し!!
明日からまた頑張るぞ!!)
ジェシカはグラスに注がれた琥珀色のバーボンをぐいとあおった。
魔法の鍵は絶対、僕がみつける!」
「魔法の鍵をみつけるのは私よ!」
この離れは取り壊されるのだからということで、ジェシカは宝箱を半ば無理矢理に持って帰った。
そのことを境に、ジェシカはクライドと遊ばなくなった。
しばらくして別荘に行ってみると離れは取り壊され、クライドは町へ帰ってしまっていた。
それから、歳月は流れ、ジェシカは宝箱のこともクライドのこともいつの間にか忘れていた。
ところが、ジェシカが17歳のある時、母に頼まれて屋根裏の片付けを手伝っていた時にあの宝箱をみつけたのだ。
(そうだ…!この宝箱は…!)
あの時の記憶が昨日のことのようにまざまざとよみがえり、ジェシカはまるで長い間忘れていた自分の使命を思い出したような気分になっていた。
それからのジェシカの行動は素早かった。
テキパキと旅支度を整える。
最早、顔もはっきりとは思い出せない程の相手との昔話に、なぜここまで心が動くのかはわからなかったが、とにかくジェシカの心は決まってしまったのだ!
(みつけなきゃ!
魔法の鍵をみつけるのは絶対私なんだから!!
クライドになんか負けないわ!)
そして、気が付けばこんなことになってしまったというわけだ…
十数年経っても噂話さえ聞かない魔法の鍵…
そんなものは元々存在しないのかもしれない…
クライドもあんな昔の話を覚えているはずもない…
そう思うこともあったが、それでもやっぱりやめられない!
いつの日か、魔法の鍵をみつけてあの宝箱を開けてやる!
彼女のその想いは揺るがない…!
それだけではなく、実は今の暮らしが好きだから…
(よ~し!!
明日からまた頑張るぞ!!)
ジェシカはグラスに注がれた琥珀色のバーボンをぐいとあおった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる