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ルカ(聖夜月ルカ)

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023. 宝物

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「こ、これは…!!
これはものすごい金になるよ!!」

ジェシカは、キラキラ輝く宝石を両方の手に、独り言を呟きながらはしゃぎまくっている。


(……でも…やっぱりアレは……)

ジェシカは宝石を袋におさめながら、宝箱の底をまさぐる。

(……あるはずないよねぇ…)

あるはずがないとはわかっていても、やはりそれなりに落胆してしまう。

(ま、いっか!
これだけのものが手に入ったんだし…
よぉし!今夜は飲むぞ!食べるぞ!!)

ジェシカは小踊りをしながら町に帰り、まっすぐ道具屋へ走り込んだ。

「おじさん!
今日のはすごいから気絶するんじゃないよ!」

息をきらしながらジェシカはそういうと、道具やの主人の鼻先に先程の宝石を手渡した。

「どれどれ…」

主人は、片方の目にモノクルを付け、宝石を1つ1つ丁寧に見定めている。

「どうだい!
すごいもんだろう?」

「本当じゃな。
確かに見事な……ガラス玉じゃ…」

「えっ?
おじさん、今、なんて??ガラス玉って何だい…?」

「こりゃあ、本当によく出来とる。
素人はもちろんじゃが、玄人でもすぐには見破られん程の模造品じゃ。」

「なんだって~!
そんなわけないだろ!
おじさん、もうろくしてるんじゃないだろうね!
しっかり見ておくれよ!」

「嘘だと思うなら、よその店で見てもらうとええ。
……残念じゃが、これは間違いなく模造品じゃ。」

「そんなぁ……」

その言葉にジェシカの全身の力は抜け、へなへなとその場にへたりこんでしまった。

「でも、さっきも言った通り、とても精巧な模造品じゃ。
きっと金持ちがふだん付けるためにわざわざ職人に作らせたもんなんじゃろうなぁ。
普通の模造品よりはずっと高価で買い取るが…どうするね?」

「…わかったよ。頼むよ…」

確かに、模造品としては破格の値が付いた。
しかし、これが本物だったらこの何十倍もの値がついただろうに…

あの宝箱をみつけるために、まずは宝の地図を買い、遠い所からかなりの路銀と時間を使ってわざわざやってきたというのに…

それを考えると、たいした儲けにはならなかった…

(チェッ…)

ジェシカは軽く舌打ちをしながら、酒場の扉を開けた。
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