138 / 697
022. 日常風景
2
しおりを挟む
つきあい始めてから、彼への評価は特にあがりも下がりもしていない。
よく一緒にいると愛着がわくという人がいるけれど、確かにそういうものは多少芽生えて来ているかもしれない。
でも、それだけのこと。
「愛情」という感情とは明らかに違う…
咲也のことは元々嫌いなわけではない。
でも、特に好きというわけでもない。
彼が、あの人の弟じゃなかったら、つきあってはいない…
咲也の家で、あの人を何度か見た。
どれもほんの一瞬のこと。
それなのに、私の胸の鼓動は、その音が外に聞こえるんじゃないかと思う程、大きく高鳴った。
それは、きっと、あの人が私の運命の人だから…
私が咲也の家に行った時、あの人がリビングにいたことがあった。
でも、一瞬、こっちをチラッと見ただけで、何も言わずに部屋にひきこもってしまう。
私も、あの人の姿を目で捕えたらすぐに下を向いてしまうから、あの人は私の顔もろくにはわかってないと思う。
それで良い。
今は、それで…
その時が来るまでは、今のままで良い…
「水青ってば、聞いてる?
お~い!起きてますかぁ?」
咲也が私の目の前に片手を差し出してチラチラさせる。
「なによ~!ちゃんと聞いてるよ!」
……嘘。
実は、全然、聞いてなかった。
あの人のことを考えてたら、咲也の声は耳に入らなかった。
「じゃ、何時にする?」
「咲也に任せる。」
「何時でも良いの?
じゃ、朝の5時!」
「よく言うよ!
そんな時間になんて起きられないくせに…」
「水青のためなら起きられる!」
「そうなんだ。
じゃ、朝の5時ね!」
「えーーーっ!マジ?」
「……嘘。」
「もう、なんだよ~っ!!」
屈託のない顔をして笑う咲也…
きっと善い人なんだ。
この笑顔にはそれなりに癒される。
でも、私が求めてるのは、癒しじゃないから…
よく一緒にいると愛着がわくという人がいるけれど、確かにそういうものは多少芽生えて来ているかもしれない。
でも、それだけのこと。
「愛情」という感情とは明らかに違う…
咲也のことは元々嫌いなわけではない。
でも、特に好きというわけでもない。
彼が、あの人の弟じゃなかったら、つきあってはいない…
咲也の家で、あの人を何度か見た。
どれもほんの一瞬のこと。
それなのに、私の胸の鼓動は、その音が外に聞こえるんじゃないかと思う程、大きく高鳴った。
それは、きっと、あの人が私の運命の人だから…
私が咲也の家に行った時、あの人がリビングにいたことがあった。
でも、一瞬、こっちをチラッと見ただけで、何も言わずに部屋にひきこもってしまう。
私も、あの人の姿を目で捕えたらすぐに下を向いてしまうから、あの人は私の顔もろくにはわかってないと思う。
それで良い。
今は、それで…
その時が来るまでは、今のままで良い…
「水青ってば、聞いてる?
お~い!起きてますかぁ?」
咲也が私の目の前に片手を差し出してチラチラさせる。
「なによ~!ちゃんと聞いてるよ!」
……嘘。
実は、全然、聞いてなかった。
あの人のことを考えてたら、咲也の声は耳に入らなかった。
「じゃ、何時にする?」
「咲也に任せる。」
「何時でも良いの?
じゃ、朝の5時!」
「よく言うよ!
そんな時間になんて起きられないくせに…」
「水青のためなら起きられる!」
「そうなんだ。
じゃ、朝の5時ね!」
「えーーーっ!マジ?」
「……嘘。」
「もう、なんだよ~っ!!」
屈託のない顔をして笑う咲也…
きっと善い人なんだ。
この笑顔にはそれなりに癒される。
でも、私が求めてるのは、癒しじゃないから…
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
赤い流れ星3
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
美幸とシュウ、そして、野々村と和彦はどうなる!?
流れ星シリーズ、第3弾。完結編です。
時空の門をくぐったひかりとシュウ…
お互いの記憶をなくした二人は…?
誤解ばかりですれ違う和彦と野々村は、一体どうなる?
※表紙画はくまく様に描いていただきました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる