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020. 冥王
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*
「なんだと、この野郎!」
「ディック、やめろよ。
そんな奴に構うな!」
「ははっ、腰抜けの友達はやっぱり腰抜けなんだな。」
「何をーーー!」
「やめろ、ディック!」
それは酒場でよくある些細な喧嘩だった。
お互いが酔っているため、男達はくだらないことですぐにかっとなり、大喧嘩をした挙句、次の日にはお互いがそのことを忘れている…
しかし、今回の喧嘩は少し違っていた。
ディックは倒れた拍子に、固い暖炉の角で頭を強打した。
血綿が噴き出し、素人目にも、ディックが大変危険な状態だということだわかった。
*
「冥王様、無事に任務は完了しました。
今回はローデス様がしっかりと確認して下さいましたから、ご安心下さい。
リチャード・J・スミスは間違いなく先程冥界に送りこんで参りました。」
「ご苦労だった…
それで、ロインクレーのリチャード・J・スミスの魂は…?」
「はい、それも間違いなく…」
「そうか…」
冥王はどこか遠くをみつめ、ゆっくりと頷いた。
*
「冥王様、ローデスでございます。」
しばらくして、冥王の部屋にノックする音が響いた。
「ローデスか、入れ。」
入室を許されたローデスは、冥王の前で恭しく頭を下げ、書類を手にした。
「冥王様、先程、ロイングレーのリチャード・J・スミス、27歳が…」
「そのことなら、死神に聞いた。
今度は間違いないんだな?」
「はい。間違いありません。」
「どのような男だ?」
「なにやら威勢の良い男でして…おまえはもう死んだのだと伝えると大暴れしまして、そりゃあもう大変な騒ぎでした。
それはそうと、冥王様、先程、ロインクレーの方のリチャード・J・スミスの関係者を調べていたのですが…この者の…」
ローデスは書類の一部を指差した。
「何か文句でもあるのか…」
「え……ですが、冥王様…こういうことは…ですねぇ…」
「ローデス……おまえは私のやることに何か文句があるのかと聞いておるのだ。」
威嚇するような低い声とローデスを射抜くようなその視線は、それ以上ローデスに異義を挟ませないものだった。
「……いえ、そのようなことは何も。
失礼致しました!」
ローデスは、頭を下げると逃げるように部屋を出た。
「なんだと、この野郎!」
「ディック、やめろよ。
そんな奴に構うな!」
「ははっ、腰抜けの友達はやっぱり腰抜けなんだな。」
「何をーーー!」
「やめろ、ディック!」
それは酒場でよくある些細な喧嘩だった。
お互いが酔っているため、男達はくだらないことですぐにかっとなり、大喧嘩をした挙句、次の日にはお互いがそのことを忘れている…
しかし、今回の喧嘩は少し違っていた。
ディックは倒れた拍子に、固い暖炉の角で頭を強打した。
血綿が噴き出し、素人目にも、ディックが大変危険な状態だということだわかった。
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「冥王様、無事に任務は完了しました。
今回はローデス様がしっかりと確認して下さいましたから、ご安心下さい。
リチャード・J・スミスは間違いなく先程冥界に送りこんで参りました。」
「ご苦労だった…
それで、ロインクレーのリチャード・J・スミスの魂は…?」
「はい、それも間違いなく…」
「そうか…」
冥王はどこか遠くをみつめ、ゆっくりと頷いた。
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「冥王様、ローデスでございます。」
しばらくして、冥王の部屋にノックする音が響いた。
「ローデスか、入れ。」
入室を許されたローデスは、冥王の前で恭しく頭を下げ、書類を手にした。
「冥王様、先程、ロイングレーのリチャード・J・スミス、27歳が…」
「そのことなら、死神に聞いた。
今度は間違いないんだな?」
「はい。間違いありません。」
「どのような男だ?」
「なにやら威勢の良い男でして…おまえはもう死んだのだと伝えると大暴れしまして、そりゃあもう大変な騒ぎでした。
それはそうと、冥王様、先程、ロインクレーの方のリチャード・J・スミスの関係者を調べていたのですが…この者の…」
ローデスは書類の一部を指差した。
「何か文句でもあるのか…」
「え……ですが、冥王様…こういうことは…ですねぇ…」
「ローデス……おまえは私のやることに何か文句があるのかと聞いておるのだ。」
威嚇するような低い声とローデスを射抜くようなその視線は、それ以上ローデスに異義を挟ませないものだった。
「……いえ、そのようなことは何も。
失礼致しました!」
ローデスは、頭を下げると逃げるように部屋を出た。
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