Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
106 / 697
017. まったく…

しおりを挟む
小人は腰に下げた袋から、先っちょに宝石みたいなものがついた棒を取り出すと、俺が聞いたこともない言葉を呟き始めた。

「…おまえ…何やってんだ??」

小人は俺の問掛けを無視して言葉を続けている。

ハッ!
これはもしかしたら、魔法の呪文ってやつか?

もしかして、俺は小人の魔法でカエルか何かに姿を変えられて…

絵本で読んだ魔法使いの話が脳裏をよぎっていた。

(逃げなくては!!)

そう思った瞬間、小人が棒を頭上高くに差し上げ、そしてすぐにそれを俺に向かって指し示した。
棒の先から何か出てくるのかと思い、俺は固く目を閉じた。

数秒経って、小人の甲高い笑い声が聞こえ、俺が恐る恐る目を開けると、何も変わってはいなかった。

「……なんだよ、脅かすなよ!」

「……もしも、また会うことがあったら…そしたら、解いてやるよ。
帽子は返してもらうからな!」

小人は俺の手から帽子をひったくり不適な笑みを浮かべると、ものすごいスピードで走り去った。

「あ、おいっ!」

俺が声を出した時には、すでに小人の姿は見えなくなっていた。

(なんだ、あれ?
変な奴…)

……そういえば…
あいつ、おかしなこと言ってたな。

「もし、また会うことがあったら、解いてやる」…とか、なんとか…

解くって何を…?

やっぱり、なにかされたのか?

俺は急に不安になり、走って小屋に戻った。

もしかしたら、俺は姿が見えなくなってるとか、他の人から見たら豚に見えてるとか…

いろんな想像が頭の中にわきあがる。

「父さん!母さん!!起きて!起きてよ!」

「…ん…どうしたんだ、ルーク。」

俺は、不安で涙が出そうになるのを必死でこらえ、今あったことを両親に話した。

「ルーク…おまえ、寝惚けてたんだよ。
さぁ、もう寝なさい。」

「違うよ!俺、本当に小人を見たんだ!」

「わかったわ、そうね、小人さんに会ったのね。」

母さんは俺を抱き締め、背中をさすってくれた。

「俺は本当に…」

母さんの心地良い温もりのせいか、俺はいつの間にか眠ってたようだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

処理中です...