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ルカ(聖夜月ルカ)

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016. 嫉妬

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「何だって~!それは本当なのか?!」

「あ…あぁ……こんなことで、嘘なんか吐かないぜ。」

俺は思わず椅子から転げ落ちそうになってしまい、あわてて態勢を立て直す。



あれから隣町にやって来た俺は、きのこを売った金でやっとありついたまともな食事に舌鼓を打ちながら、ふと思いついてレストランの親父に尋ねてみた。
1ヶ月程前に、破れた地図を持った奴が来なかったか?…と。

もちろん、それはただの思い付きで、まさかこの町のこの店に本当に立ち寄ったなんて考えてはいなかったんだが、意外なことにそいつはここに立ち寄っていて、しかも、地図を広げて見せたということだった。



「はっきりとはわからないが、見せられたあの地形から思い当たる場所があった。
昔、何年か住んでたマザークロスの町に似てるような気がしたんだ。
で、俺は、その町じゃないかってことをそいつに伝えたら、あのやろう、食事代も払わずにすっ飛んで行ったよ。」

「そ、そ、それはどこなんだ?!」

「それはなぁ…」

レストランの親父にマザークロスの町のことを聞いた俺は、すぐさま店を出た。
後ろで親父がなにか叫んでいるのも、俺自身がまたそいつと同じように食事代も払わずにすっ飛んで行ってしまったことはその時の俺はまるで気が付いていなかった。



もう1ヶ月も前の話だ。
そいつはとっくにその町に着いているはずだ。
もしかしたら、もうすでに小人の村を見つけ出してるかもしれない。
いや…それはどうかわからないな。
場所を突き止めたとしても、そこへ入る方法の方が難しいって話だから。
まだ、そいつがその付近にいれば、協力しないかともちかけてみるつもりだ。
そいつが一体どんな理由があって小人を探しているのかはわからないが、あんな高い金を出して、しかも3分の2だけの地図を買ったのだから、どうしても小人に会いたい理由があるのだろう。

1人より2人の方が心強い。
それは俺だけではなく、そいつだってそう感じているはずだ。
だから、俺の申し出を受けてくれるんじゃないか?
俺は、そう考えていた。

マザークロスの町へはけっこう遠い道程だった。
でも、頑張って歩いた甲斐あって、この分なら明日には着けるだろう。
一刻も早く行きたい気持ちはあったが、ここ数日の無理が祟ったのか、どうも足が痛くなって来た。
俺は、マザークロスの手前にある小さな町に立ち寄り、今夜はそこで休むことにした。


 
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