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014. 高級マツタケ
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僕らがここへ来たのは、珍しいきのこを採るためだった。
先日、街道の脇で具合の悪そうな顔をしてしゃがみこんだおじいさんをみつけ、そのおじいさんを僕らは家まで送り届けた。
おじいさんの家は町からずいぶん離れた場所にぽつんとあった。
おじいさんは数日前から風邪をひいてたらしく熱があって、それで具合が悪くなったみたいだった。
いつも元気だからこのくらいなら大丈夫だろうと思って、町まで買い物に行ったらしいんだ。
そんなわけで、僕達はおじいさんを一人残して帰るのも心配で、その日は泊まらせてもらっておじいさんの容態を見守った。
次の朝には、おじいさんの熱も下がり、僕らもほっと一安心。
帰り際に、おじいさんは親切にしてくれたお礼にと、珍しいきのこが採れる山のことを教えてくれた。
それはとても良い香りを放つきのこだそうで、きのことは思えないような高値で売れるらしいんだ。
おじいさんは偶然その山をみつけ、若い頃には相当儲けたらしい。
だけど、そのせいで家庭をほったらかしにしてしまい、奥さんは子供を連れて出て行ったということだった。
だから、おじいさんはその山のことを今まで誰にも話さなかったらしいんだけど、僕らは誰も結婚してないからなのか、それともロッシーのことを信頼出来る商人だと認めてくれたのかはわからないけど、教えてくれたんだ。
「とかやん、きのこの探し方と採り方はわかってるな?」
「うん、おじいさんの話を聞いたから大丈夫だと思うよ。
でも…本当にそんなに高くで売れるきのこなんてあるのかな?」
「あのおじいさんが嘘吐いてるとは思われへん。
現に、ゆうた山もこうしてちゃんとあったんやからな。
ほな、そろそろ始めよか。」
「そうだね。」
僕らは立ち上がり、地面にはりつくようにして目を凝らし、おじいさんに教えてもらった茶色いきのこを探した。
落ち葉の間から顔を出しているのを見逃すなっておじいさんは言ってたけど、落ち葉とよく似た色らしいししかもあたりは薄暗いからみつけるのは難しい。
「とかやん!ちょっと来て!」
ロッシーの声は明らかに興奮している。
もしかしたらもう発見したんだろうか?
あたりに生えてるきのこを誤って踏んづけたら困るから、僕は足元を注意しながらロッシーの元に急いだ。
先日、街道の脇で具合の悪そうな顔をしてしゃがみこんだおじいさんをみつけ、そのおじいさんを僕らは家まで送り届けた。
おじいさんの家は町からずいぶん離れた場所にぽつんとあった。
おじいさんは数日前から風邪をひいてたらしく熱があって、それで具合が悪くなったみたいだった。
いつも元気だからこのくらいなら大丈夫だろうと思って、町まで買い物に行ったらしいんだ。
そんなわけで、僕達はおじいさんを一人残して帰るのも心配で、その日は泊まらせてもらっておじいさんの容態を見守った。
次の朝には、おじいさんの熱も下がり、僕らもほっと一安心。
帰り際に、おじいさんは親切にしてくれたお礼にと、珍しいきのこが採れる山のことを教えてくれた。
それはとても良い香りを放つきのこだそうで、きのことは思えないような高値で売れるらしいんだ。
おじいさんは偶然その山をみつけ、若い頃には相当儲けたらしい。
だけど、そのせいで家庭をほったらかしにしてしまい、奥さんは子供を連れて出て行ったということだった。
だから、おじいさんはその山のことを今まで誰にも話さなかったらしいんだけど、僕らは誰も結婚してないからなのか、それともロッシーのことを信頼出来る商人だと認めてくれたのかはわからないけど、教えてくれたんだ。
「とかやん、きのこの探し方と採り方はわかってるな?」
「うん、おじいさんの話を聞いたから大丈夫だと思うよ。
でも…本当にそんなに高くで売れるきのこなんてあるのかな?」
「あのおじいさんが嘘吐いてるとは思われへん。
現に、ゆうた山もこうしてちゃんとあったんやからな。
ほな、そろそろ始めよか。」
「そうだね。」
僕らは立ち上がり、地面にはりつくようにして目を凝らし、おじいさんに教えてもらった茶色いきのこを探した。
落ち葉の間から顔を出しているのを見逃すなっておじいさんは言ってたけど、落ち葉とよく似た色らしいししかもあたりは薄暗いからみつけるのは難しい。
「とかやん!ちょっと来て!」
ロッシーの声は明らかに興奮している。
もしかしたらもう発見したんだろうか?
あたりに生えてるきのこを誤って踏んづけたら困るから、僕は足元を注意しながらロッシーの元に急いだ。
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