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001. 砂の城
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俺は、小人に会った時のことを爺さんに話した。
ランスロットが傍にいたから、その内容は少し嘘を吐いた。
もちろん、小人にかけられた魔法のことも言わなかったが、爺さんは俺の話を聞いて涙を流さんばかりに喜んだ。
「こんな年になってやっとおまえさんのような人に巡り合えるとはな…
長生きはするもんじゃな。」
そう言いながら、爺さんは指で目尻の涙を拭うと、再び、話し始めた。
「あの日、わしは皆に馬鹿にされたことがものすごく悔しくてな…それから一生懸命に小人についてのことを調べまわった。
あちこちを旅してな。
そして、ようやく手に入れた小人の村の地図をわしはうかつにも盗まれてしまったんじゃ。
だが、記憶を頼りにわしはなんとかこの町に辿りついた。
その頃、この町には小人の村があるという噂が立っておって、すでにたくさんの者達が小人の村を探しに来ておった。
きっと、その中にはわしの地図を奪った輩もおったと思う。
だが、誰もその場所を見つけ出した者はなく、そのうちにそんなものはただの伝説だと言われるようになったんじゃ。
わしもさんざん探したがどうしてもみつからず、やっぱり、皆の言うように小人の村のことはただの伝説であの地図も偽物だったのかもしれんと思い始めていた…じゃが、その頃……」
「みつけたのか!?あの扉を……!」
「扉じゃと…?まさか、おまえさん方……」
俺は、ゆっくりと頷いた。
「実はついさっきみつけたばかりなんだけど、その扉がどうしても開かないんだ。
そのうちに扉は消えてなくなった。
明日出直すしかないな。」
爺さんは、そう言った俺に向かって首を振る。
「……どういうことなんだ?」
俺は、爺さんが首を振った意味を尋ねた。
「あの扉は鍵がないと開かんのじゃ。」
「鍵が……?
まさか、爺さん、その鍵を持ってるっていうんじゃないだろうな?」
「いや、持ってはおらん。
じゃが、鍵の在り処はわかっている。」
「じゃ、なんで取りに行かないんだ?」
「行ってみて取れないことがはっきりとわかった。」
「爺さん…それは、一体、どういうことなんだ!?」
爺さんのはっきりしない物言いに、俺は声を荒げた。
ランスロットが傍にいたから、その内容は少し嘘を吐いた。
もちろん、小人にかけられた魔法のことも言わなかったが、爺さんは俺の話を聞いて涙を流さんばかりに喜んだ。
「こんな年になってやっとおまえさんのような人に巡り合えるとはな…
長生きはするもんじゃな。」
そう言いながら、爺さんは指で目尻の涙を拭うと、再び、話し始めた。
「あの日、わしは皆に馬鹿にされたことがものすごく悔しくてな…それから一生懸命に小人についてのことを調べまわった。
あちこちを旅してな。
そして、ようやく手に入れた小人の村の地図をわしはうかつにも盗まれてしまったんじゃ。
だが、記憶を頼りにわしはなんとかこの町に辿りついた。
その頃、この町には小人の村があるという噂が立っておって、すでにたくさんの者達が小人の村を探しに来ておった。
きっと、その中にはわしの地図を奪った輩もおったと思う。
だが、誰もその場所を見つけ出した者はなく、そのうちにそんなものはただの伝説だと言われるようになったんじゃ。
わしもさんざん探したがどうしてもみつからず、やっぱり、皆の言うように小人の村のことはただの伝説であの地図も偽物だったのかもしれんと思い始めていた…じゃが、その頃……」
「みつけたのか!?あの扉を……!」
「扉じゃと…?まさか、おまえさん方……」
俺は、ゆっくりと頷いた。
「実はついさっきみつけたばかりなんだけど、その扉がどうしても開かないんだ。
そのうちに扉は消えてなくなった。
明日出直すしかないな。」
爺さんは、そう言った俺に向かって首を振る。
「……どういうことなんだ?」
俺は、爺さんが首を振った意味を尋ねた。
「あの扉は鍵がないと開かんのじゃ。」
「鍵が……?
まさか、爺さん、その鍵を持ってるっていうんじゃないだろうな?」
「いや、持ってはおらん。
じゃが、鍵の在り処はわかっている。」
「じゃ、なんで取りに行かないんだ?」
「行ってみて取れないことがはっきりとわかった。」
「爺さん…それは、一体、どういうことなんだ!?」
爺さんのはっきりしない物言いに、俺は声を荒げた。
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