3 / 23
偽り
3
しおりを挟む
「あんな悲しそうな顔をして…可哀想に…」
『そう思うなら、ハリーのことなど言わなければ良かったのではないか?』
「わっっ!!
いきなり出てくるなよ!
…っていうか、おまえ、さっきの話聞いてたのか?」
『聞いていたわけではないが…結果的には、まぁ、そんなとこだな。』
「じゃあ…なんとかならねぇか?」
『なにをなんとかするのだ?』
「何って…あの二人のことに決まってるじゃないか!
あの二人はきっとお互いに好き同士だ。
だけど、なにか事情があってあんなことを言ってるんだと思うんだ。」
『事情があるのなら、仕方がないのではないか?』
エレスの言葉に、ジュリアンは眉をひそめる。
「……おまえは本当に冷たい奴だな…
少しは、人のために何かしてやりたいって気持ちにはならないのか?」
『そういうのはただのおせっかいというのではないのか?
彼らは子供ではないのだ。
自分達で考えて、その上で結論を出したのだろう。
それで良いではないか。』
「あぁ~、わかった、わかった!
もうおまえなんかしゃべらない!
ついて来んなよ!!」
ジュリアンは、そう言い残して部屋を出て行った。
ジュリアンは、もう一度マージの元を訪ね、ハリーの話をしようと考えたのだが、カウンターにいたのは彼女の父親らしき男で、マージはすでに休んだとのことだった。
『やけに早いのだな。』
「うっせー!」
苛立ちをその一言に込めて吐き出すと、ジュリアンはベッドに横になった。
*
次の朝、いつものように少し遅い時間に目覚めたジュリアンは宿の外へ出ていった。
『どこへ行くつもりだ?』
「どこだって良いだろ。
あ…しばらくこの町にいることにしたから、お前は石の中でおとなしくしてろ。」
エレスは無言のままで姿を消した。
ジュリアンは、昨日、ハリーと行った酒場へ向かう。
「ハリー!」
「よう、ジュリアンじゃないか!」
「おまえの家を聞こうと思ってここに来たんだが…なんだって、こんな朝っぱらから飲んでるんだ?」
「そんなことどうでも良いじゃないか。
おまえも一緒に飲もうぜ!」
ジュリアンは、ハリーの向かいの席に腰を降ろすとビールとフライドチキンを注文した。
『そう思うなら、ハリーのことなど言わなければ良かったのではないか?』
「わっっ!!
いきなり出てくるなよ!
…っていうか、おまえ、さっきの話聞いてたのか?」
『聞いていたわけではないが…結果的には、まぁ、そんなとこだな。』
「じゃあ…なんとかならねぇか?」
『なにをなんとかするのだ?』
「何って…あの二人のことに決まってるじゃないか!
あの二人はきっとお互いに好き同士だ。
だけど、なにか事情があってあんなことを言ってるんだと思うんだ。」
『事情があるのなら、仕方がないのではないか?』
エレスの言葉に、ジュリアンは眉をひそめる。
「……おまえは本当に冷たい奴だな…
少しは、人のために何かしてやりたいって気持ちにはならないのか?」
『そういうのはただのおせっかいというのではないのか?
彼らは子供ではないのだ。
自分達で考えて、その上で結論を出したのだろう。
それで良いではないか。』
「あぁ~、わかった、わかった!
もうおまえなんかしゃべらない!
ついて来んなよ!!」
ジュリアンは、そう言い残して部屋を出て行った。
ジュリアンは、もう一度マージの元を訪ね、ハリーの話をしようと考えたのだが、カウンターにいたのは彼女の父親らしき男で、マージはすでに休んだとのことだった。
『やけに早いのだな。』
「うっせー!」
苛立ちをその一言に込めて吐き出すと、ジュリアンはベッドに横になった。
*
次の朝、いつものように少し遅い時間に目覚めたジュリアンは宿の外へ出ていった。
『どこへ行くつもりだ?』
「どこだって良いだろ。
あ…しばらくこの町にいることにしたから、お前は石の中でおとなしくしてろ。」
エレスは無言のままで姿を消した。
ジュリアンは、昨日、ハリーと行った酒場へ向かう。
「ハリー!」
「よう、ジュリアンじゃないか!」
「おまえの家を聞こうと思ってここに来たんだが…なんだって、こんな朝っぱらから飲んでるんだ?」
「そんなことどうでも良いじゃないか。
おまえも一緒に飲もうぜ!」
ジュリアンは、ハリーの向かいの席に腰を降ろすとビールとフライドチキンを注文した。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
天使からの贈り物・決意
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
単細胞の石好き男・ジュリアンと、石の精霊・エレスの不思議な旅物語・第5弾!
旅の途中でジュリアンが知り合ったのは、ラリーとスージーという仲の良い兄妹だった。
もうじき結婚することが決まっていたスージーの身に、とんでもないことが起きて…
天使からの贈り物・誤算
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
ジュリアンとエレスの旅物語・第4弾です。
ある町で、ジュリアンはネイサンとポールという二人の炭鉱夫と仲良くなった。
その出会いは、ジュリアンに深い心の傷を与えることに…
天使の探しもの
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
創造主との賭けにより、身体を二つに分けられ、一切の能力をも奪われて地上に落とされた天使・ブルーとノワールは、遠く離れた場所にいた。
しかし、天界に戻るためには、二人が出会わなければならない。
二人は数々の苦難を乗り越え、そして……
※表紙画は詩乃様に描いていただきました。
天使からの贈り物・衝動
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
ある時、ジュリアンが掘り出したのは、とても見事なエレスチャルだった。
しかも、そのエレスチャルには石の精霊が棲んでいて……
シリーズ第1弾です。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる