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偽り

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「あんな悲しそうな顔をして…可哀想に…」

『そう思うなら、ハリーのことなど言わなければ良かったのではないか?』

「わっっ!!
いきなり出てくるなよ!
…っていうか、おまえ、さっきの話聞いてたのか?」

『聞いていたわけではないが…結果的には、まぁ、そんなとこだな。』

「じゃあ…なんとかならねぇか?」

『なにをなんとかするのだ?』

「何って…あの二人のことに決まってるじゃないか!
あの二人はきっとお互いに好き同士だ。
だけど、なにか事情があってあんなことを言ってるんだと思うんだ。」

『事情があるのなら、仕方がないのではないか?』

エレスの言葉に、ジュリアンは眉をひそめる。



「……おまえは本当に冷たい奴だな…
少しは、人のために何かしてやりたいって気持ちにはならないのか?」

『そういうのはただのおせっかいというのではないのか?
彼らは子供ではないのだ。
自分達で考えて、その上で結論を出したのだろう。
それで良いではないか。』

「あぁ~、わかった、わかった!
もうおまえなんかしゃべらない!
ついて来んなよ!!」



ジュリアンは、そう言い残して部屋を出て行った。

ジュリアンは、もう一度マージの元を訪ね、ハリーの話をしようと考えたのだが、カウンターにいたのは彼女の父親らしき男で、マージはすでに休んだとのことだった。



『やけに早いのだな。』

「うっせー!」



苛立ちをその一言に込めて吐き出すと、ジュリアンはベッドに横になった。







次の朝、いつものように少し遅い時間に目覚めたジュリアンは宿の外へ出ていった。



『どこへ行くつもりだ?』

「どこだって良いだろ。
あ…しばらくこの町にいることにしたから、お前は石の中でおとなしくしてろ。」



エレスは無言のままで姿を消した。

ジュリアンは、昨日、ハリーと行った酒場へ向かう。



「ハリー!」

「よう、ジュリアンじゃないか!」

「おまえの家を聞こうと思ってここに来たんだが…なんだって、こんな朝っぱらから飲んでるんだ?」

「そんなことどうでも良いじゃないか。
おまえも一緒に飲もうぜ!」

ジュリアンは、ハリーの向かいの席に腰を降ろすとビールとフライドチキンを注文した。
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