上 下
219 / 258
秘話

しおりを挟む
「あの……私と結婚する方を魔法使いが決めるというのはどうしてなんですか?」

 「それはだな…
私は当然、私が相手だと思っていたし、そうするつもりだった。
だが、マーカスがそのことに異議を唱えたんだ。」

 「マーカスさんが…?」

 「あぁ。それは私のことを考えてのことだ。
 私とオデットは子供の時からの知り合いでな…
もう家族のような間柄だった。
マーカスはそれを知っている。
だから、私をオデットと結婚させ、自分が犠牲になろうとしたんだな…
あ、失礼。
 君がいやだとか、そういうことではないんだ。
アーリアの神託は絶対的なものだし、仕方がないと思っている。
それに、君と会って、君が素敵な人だということもわかった。
 話はそれたが…つまりはそういうことで、私もマーカスもどちらも引かず…
それで、困った陛下が、魔法使いの神託にお任せになったんだ。」

 「そうなんですね……」



マーカスさんって、すごくお兄さん想いなんだな。
ご自分にも好きな方がいらっしゃるのに…
そして、ルーサーさんも…



大巫女アーリアの御神託ってやつさえなかったら、みんなが幸せになれたのに…



「アーリアの神託には、絶対に背けないのですか?
そんなに価値のあるものなんですか?」

 「シャルア…今更何を言ってるんだ…
この世界に、戦争のひとつもないのは誰のおかげだと思ってる?
アーリアのおかげだ。
 彼女の神託のおかげじゃないか。
それに、ガザンのことは君ももちろん知っているだろう?
 自分の国をあんな風にしたいか?」

 私は必死に首を振った。
この国をガザンのようにはしたくないからこそ、私は、替え玉になったんだもの。



 (やっぱり、この状況を変えることは無理なんだね…)


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹のおかげで婚約者の本性が分かりました、婚約破棄して人生やり直したいと思います!

coco
恋愛
「婚約したのは、金目当てだ。」 そう嘲笑う婚約者の腕の中に居たのは、妹だった。 あなたは、私を愛していなかったのね。 妹のおかげで、婚約者の本性が分かりました。 こんな男とは、もう婚約破棄します。 ここからが、私の新しい人生の始まりだわ─。

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。 エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。 俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。 処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。 こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…! そう思った俺の願いは届いたのだ。 5歳の時の俺に戻ってきた…! 今度は絶対関わらない!

【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。

buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ? 

あなたに誓うのは

hamapito
ファンタジー
シエル王子の側近であるフェリアは今日でその役目を終える。 忠誠を誓ってきたシエル王子が国王となるからだ。 この先を守るのはもう自分ではない。 胸に秘めた想いを隠したまま、ふたりは最後のときを過ごすーー。 誰よりも強くなりたかった。 あなたを守るため。あなたのそばにいるため。 ――あなたがこの国の王となるその日まで。

[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

はな
BL
佐藤雪には恋人がいる。だが、その恋人はどうやら周りに女の子がたくさんいるハーレム状態らしい…どうにか、自分だけを見てくれるように頑張る雪。 果たして恋人とはどうなるのか? 主人公 佐藤雪…高校2年生  攻め1 西山慎二…高校2年生 攻め2 七瀬亮…高校2年生 攻め3 西山健斗…中学2年生 初めて書いた作品です!誤字脱字も沢山あるので教えてくれると助かります!

【完結】初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが

藍生蕗
恋愛
 子供の頃、一目惚れした相手から素気無い態度で振られてしまったリエラは、異性に好意を寄せる自信を無くしてしまっていた。  しかし貴族令嬢として十八歳は適齢期。  いつまでも家でくすぶっている妹へと、兄が持ち込んだお見合いに応じる事にした。しかしその相手には既に非公式ながらも恋人がいたようで、リエラは衆目の場で醜聞に巻き込まれてしまう。 ※ 本編は4万字くらいのお話です ※ 他のサイトでも公開してます ※ 女性の立場が弱い世界観です。苦手な方はご注意下さい。 ※ ご都合主義 ※ 性格の悪い腹黒王子が出ます(不快注意!) ※ 6/19 HOTランキング7位! 10位以内初めてなので嬉しいです、ありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。  →同日2位! 書いてて良かった! ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

彼の理想に

いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。 人は違ってもそれだけは変わらなかった。 だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。 優しくする努力をした。 本当はそんな人間なんかじゃないのに。 俺はあの人の恋人になりたい。 だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。 心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。

とびきりのクズに一目惚れし人生が変わった俺のこと

未瑠
BL
端正な容姿と圧倒的なオーラをもつタクトに一目惚れしたミコト。ただタクトは金にも女にも男にもだらしがないクズだった。それでも惹かれてしまうタクトに唐突に「付き合おう」と言われたミコト。付き合い出してもタクトはクズのまま。そして付き合って初めての誕生日にミコトは冷たい言葉で振られてしまう。 それなのにどうして連絡してくるの……?

処理中です...