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side フェルナン

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私はこんなものが欲しくてサキを助けたわけじゃない!
リゴレットに持って行って、返してやろうかとも思ったが…
それは、サキに会いたいがための未練がましい口実なのかもしれないと気が付いた。



 今までに見たこともないような金貨と宝石を見ているうちに、私はあることを思いついた。
それは、ヴァリアンへの旅だ。
サキが嫁ぐことになるヴァリアンとはどんな国で、結婚する王子がどのような者なのか、見てみたくなったのだ。



 先のこと等、考える必要はない。
これだけ金があるんだ。
 思いっきり贅沢に旅をしてやろうと思いついたのだ。



 私は、ブラッサの町に行き、服や靴を買った。
 良い仕立ての服を着ると、なんだか別人になったような気がした。
 気分までもが明るくなった。
そして、ほとんど乗ったことのなかった馬車に乗り込み、私はヴァリアンの国を目指した。



 馬車で乗り合わせた者たちに、私は貴族と思われたようだ。
それも面白い。
 私は否定も肯定もせずに、ただ静かに微笑んだ。
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