159 / 258
side マグダナ
1
しおりを挟む
(なぜ…!?なぜ、シャルアがあのように回復を…!?)
たった一月程の間に、あのシャルアがあれほど回復するなんて、ありえないことだ。
あの毒は、決して治すことは出来ない。
一定の量を摂ってしまえば、毒をやめても蝕まれた臓器は衰弱し続け、やがては死に至る…
ヴァリアンの一定の場所にしか生息しないある植物…
それだけでは特にこれといった害はなく、むしろ、鎮痛効果のあるものだが、いくつかの植物と混ぜるとそれは猛毒となる。
その調合を知るのは、ごく一部の薬師のみ。
私は復讐のため、その毒をこの国に持ち込んだ。
私の幸せをすべて奪ったこの国を滅ぼすために…
大巫女アーリアの神託さえなければ、私はシルヴェールと結婚することになっていた。
私達が幼い頃から、お互いの国王は二人の結婚を考えていた。
当然、私達もそう考えていた。
そろそろ婚約をしようかという時に、シルヴェールの王太后が亡くなり、喪に服しているうちに、アーリアの神託が下った…
私には、それを断ることなど出来ない。
いっそ、死んでやろうかと思ったけれど、国のことを思えばそんなことは出来るはずもなく、私はリゴレットの王子と結婚した。
私から幸せを奪った王子が…この国が憎かった。
見当はずれの憎しみかもしれないが、私は憎むことを支えにするしか、自分の辛い人生を生き抜く術を知らなかった。
リゴレットを滅ぼす…その目標が、私の生きる糧となった。
たった一月程の間に、あのシャルアがあれほど回復するなんて、ありえないことだ。
あの毒は、決して治すことは出来ない。
一定の量を摂ってしまえば、毒をやめても蝕まれた臓器は衰弱し続け、やがては死に至る…
ヴァリアンの一定の場所にしか生息しないある植物…
それだけでは特にこれといった害はなく、むしろ、鎮痛効果のあるものだが、いくつかの植物と混ぜるとそれは猛毒となる。
その調合を知るのは、ごく一部の薬師のみ。
私は復讐のため、その毒をこの国に持ち込んだ。
私の幸せをすべて奪ったこの国を滅ぼすために…
大巫女アーリアの神託さえなければ、私はシルヴェールと結婚することになっていた。
私達が幼い頃から、お互いの国王は二人の結婚を考えていた。
当然、私達もそう考えていた。
そろそろ婚約をしようかという時に、シルヴェールの王太后が亡くなり、喪に服しているうちに、アーリアの神託が下った…
私には、それを断ることなど出来ない。
いっそ、死んでやろうかと思ったけれど、国のことを思えばそんなことは出来るはずもなく、私はリゴレットの王子と結婚した。
私から幸せを奪った王子が…この国が憎かった。
見当はずれの憎しみかもしれないが、私は憎むことを支えにするしか、自分の辛い人生を生き抜く術を知らなかった。
リゴレットを滅ぼす…その目標が、私の生きる糧となった。
0
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
【完結】元婚約者の次の婚約者は私の妹だそうです。ところでご存知ないでしょうが、妹は貴方の妹でもありますよ。
葉桜鹿乃
恋愛
あらぬ罪を着せられ婚約破棄を言い渡されたジュリア・スカーレット伯爵令嬢は、ある秘密を抱えていた。
それは、元婚約者モーガンが次の婚約者に望んだジュリアの妹マリアが、モーガンの実の妹でもある、という秘密だ。
本当ならば墓まで持っていくつもりだったが、ジュリアを婚約者にとモーガンの親友である第一王子フィリップが望んでくれた事で、ジュリアは真実を突きつける事を決める。
※エピローグにてひとまず完結ですが、疑問点があがっていた所や、具体的な姉妹に対する差など、サクサク読んでもらうのに削った所を(現在他作を書いているので不定期で)番外編で更新しますので、暫く連載中のままとさせていただきます。よろしくお願いします。
番外編に手が回らないため、一旦完結と致します。
(2021/02/07 02:00)
小説家になろう・カクヨムでも別名義にて連載を始めました。
恋愛及び全体1位ありがとうございます!
※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる