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ガザン王の剣

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 「もしかしたら、あれじゃないか?」

マリウスさんが一軒の家を指さした。



 次の日、私達はあたりに注意しながら森を進んだ。
けれど、幸いなことに昨夜の男には遭遇しなかった。
 特に迷うということもなく、おばあさんから預かった手紙をタリムという魔法使いに渡すために、私達はタリムの家を探していた。



 「きっと、そうだ。
こんな所に普通の者が住むはずがない。
 早くに見つかって良かったな!」

 私達は、その家を目指して進んで行った。



 家に着くと、マリウスさんが躊躇うことなく扉を叩いた。



 「誰だい?」



 返事はすぐに返って来た。
 扉から顔を出したのは、中年の女性だった。



 「こんにちは……タリムさんですか?」

 「あぁ、そうだけど…
なんでそんなこと知ってるのさ?」

 女性は、どこか不機嫌な声でそう言った。



 「あの、俺達…イザックの町はずれに住んでるおばあさんからあなたに手紙を言付かって来ました。」

 「イザックのおばあさん…?
とにかくお入り。」

 私達は家の中に通された。



 「……誰だい?」

そこには、もう一人、女性がいて、私達を不審な目で見た。



 「ねぇ、イザックに住んでるばあさんって知ってるかい?」

 「イザック?ロザリアじゃないかい?」

 「ロザリア…?あぁ、あのロザリアかい。」

ふたりは同じタイミングで頷いた。
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