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side 優一

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 「わぁ、懐かしいなぁ……」



 家の中は段ボールだらけだということで、結局、その日、なっちゃんと小太郎は家に泊まることになった。



 「ここは、ほとんど変わってないんだね。」

 「うん、香織さんとお母さんは下の部屋を使ってるから。」

 「あ……『篠宮さん』じゃなくて『香織さん』になったんだ。」

 「だ、だって、お母さんも篠宮さんなわけだから……」

なっちゃんは、僕の顔を見ながらにやにやと笑う。



 「ま、焦らずゆっくりだよね。
あ、そういえば、店の名前は何になったの?」

 「それがまだなんだよ。
 考えれば考える程、わからなくなって……」

 「おいおい、旦那、開店は明後日ですぜ。」

なっちゃんはおどけて、僕を肘で突っつく。



 「わかってるよ。」

 「その他のことは大丈夫なの?」

 「うん、大丈夫だと思う。
 花も明日には入って来るし、準備万端。」

 「篠宮さん達ともうまくいってるんだね?」

 「……まぁね。っていうか、予想以上にうまくいってるかな。
そんなことより、亮介さんの方は大丈夫なの?」

 「大丈夫、大丈夫。
やつはあんたみたいに繊細じゃないし、馬鹿だからどうとでもなる。
しかも、やつはなっちゃんにぞっこんですから!」

 小太郎は、なんとなくおかしな雰囲気を感じながらも、やっぱり僕のことを父親だと思っているらしい。
それも仕方のないことだ。
 亮介さんとは小太郎が小さい頃に別居してるんだから……
無理に説明することはしないで、自然にわかるのを待つつもりなんだとか……
翔君ママには、近々すべてを打ち明けるらしい。



 「だから、今の最重要問題は店名であります!
 大佐殿、なにとぞ良い名付けを…!」

なっちゃんは敬礼をしながらそう言った。



 「わかったよ。今夜中に決めます。」

そうはいったものの、良い案は全く浮かばない。
 僕は知恵を借りに、香織さんの所へ向かった。 
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