290 / 308
side 香織
4
しおりを挟む
「そうだったんですか。
それはお困りですね。
でも、なっちゃん…いくらなんでも、あの部屋じゃ狭すぎるんじゃない?」
「香織さん、今のアパート、部屋いくつあるんだっけ?」
「え……六畳の二間です。
それと、四畳半の台所と。」
「だったら、なんとかなるよ!
ね?優一、そうしなよ。
香織さん達に一緒に住んでもらったら、私も安心だし、ここからだったら通勤もないに等しいし便利じゃない!」
「でも、まだご挨拶もしてないのに、そんなこと、篠宮さんのお母さんがお許しにならないんじゃないかな?」
「お母さんには、もう了承済みなんだよね?」
「え……あ、はい……」
そう言うしかなかったけれど、私は嘘がバレないかと心配で堤さんの顔をまっすぐ見ることが出来なかった。
「そうですか……
だったら、僕は別に構いませんけど……」
「え?」
「ほら、私の言った通りだろ?
じゃあ、来週にでも引っ越して来たら良いよ。」
「来週って、なっちゃん……」
「私達もそろそろ引っ越さないといけないから……
本当に助かったよ。
ここに香織さん達が引っ越して来てくれたら、こたにも話がしやすい。
これからここにはおばちゃんとそのお母さんが住むことになったからってことで、こたを向こうに連れて行くよ。」
夏美さんはリビングにいる小太郎ちゃんに気付かれないように、声を潜めてそう話された。
「急なことだけど、仕方がないよね。
どうせ、今月中には立ち退きだったんだもんね。」
「は、はい、まぁ……」
大変なことになった。
まんまと夏美さんの口車に乗ってしまって、本当に大変なことになってしまった。
だけど、もしも堤さんの家に住むことになったら、いつでも堤さんの様子がわかるし、そう言う意味では安心だ。
でも、引っ越すとなったらお金もかかるし、どうすれば良いんだろう?
それはお困りですね。
でも、なっちゃん…いくらなんでも、あの部屋じゃ狭すぎるんじゃない?」
「香織さん、今のアパート、部屋いくつあるんだっけ?」
「え……六畳の二間です。
それと、四畳半の台所と。」
「だったら、なんとかなるよ!
ね?優一、そうしなよ。
香織さん達に一緒に住んでもらったら、私も安心だし、ここからだったら通勤もないに等しいし便利じゃない!」
「でも、まだご挨拶もしてないのに、そんなこと、篠宮さんのお母さんがお許しにならないんじゃないかな?」
「お母さんには、もう了承済みなんだよね?」
「え……あ、はい……」
そう言うしかなかったけれど、私は嘘がバレないかと心配で堤さんの顔をまっすぐ見ることが出来なかった。
「そうですか……
だったら、僕は別に構いませんけど……」
「え?」
「ほら、私の言った通りだろ?
じゃあ、来週にでも引っ越して来たら良いよ。」
「来週って、なっちゃん……」
「私達もそろそろ引っ越さないといけないから……
本当に助かったよ。
ここに香織さん達が引っ越して来てくれたら、こたにも話がしやすい。
これからここにはおばちゃんとそのお母さんが住むことになったからってことで、こたを向こうに連れて行くよ。」
夏美さんはリビングにいる小太郎ちゃんに気付かれないように、声を潜めてそう話された。
「急なことだけど、仕方がないよね。
どうせ、今月中には立ち退きだったんだもんね。」
「は、はい、まぁ……」
大変なことになった。
まんまと夏美さんの口車に乗ってしまって、本当に大変なことになってしまった。
だけど、もしも堤さんの家に住むことになったら、いつでも堤さんの様子がわかるし、そう言う意味では安心だ。
でも、引っ越すとなったらお金もかかるし、どうすれば良いんだろう?
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
夫の不貞現場を目撃してしまいました
秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。
何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。
そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。
なろう様でも掲載しております。
浮気くらいで騒ぐなとおっしゃるなら、そのとおり従ってあげましょう。
Hibah
恋愛
私の夫エルキュールは、王位継承権がある王子ではないものの、その勇敢さと知性で知られた高貴な男性でした。貴族社会では珍しいことに、私たちは婚約の段階で互いに恋に落ち、幸せな結婚生活へと進みました。しかし、ある日を境に、夫は私以外の女性を部屋に連れ込むようになります。そして「男なら誰でもやっている」と、浮気を肯定し、開き直ってしまいます。私は夫のその態度に心から苦しみました。夫を愛していないわけではなく、愛し続けているからこそ、辛いのです。しかし、夫は変わってしまいました。もうどうしようもないので、私も変わることにします。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。
天織 みお
恋愛
「おめでとうございます。奥様はご懐妊されています」
目が覚めたらいきなり知らない老人に言われた私。どうやら私、妊娠していたらしい。
「だが!彼女と子供が出来るような心当たりは一度しかないんだぞ!!」
そして、子供を作ったイケメン王太子様との仲はあまり良くないようで――?
そこに私の元婚約者らしい隣国の王太子様とそのお妃様まで新婚旅行でやって来た!
っていうか、私ただの女子高生なんですけど、いつの間に結婚していたの?!ファーストキスすらまだなんだけど!!
っていうか、ここどこ?!
※完結まで毎日2話更新予定でしたが、3話に変更しました
※他サイトにも掲載中
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる