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side 香織

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 「僕ね、今日はハンバーグがいいな。
ママもハンバーグはすきだよ。」

 「そう…じゃあ、ハンバーグにしようか。」



おやつが済んだら帰ろうと思ってたけど、小太郎ちゃんがやっぱりお買い物に行きたいと言い出したので、お店に連絡してお買い物だけ行っておくことにした。



 「小太郎ちゃん、ママはいつも何時頃帰って来る?」

 「う~んと…僕がごはん食べて、テレビ見てたら帰って来る。」

おそらくそれは7時過ぎあたりじゃないかと思った。
お店は6時までだから、それからもう一度ここに来て、小太郎ちゃんと奥様の夕飯を作ってあげようと私は考えていた。
 奥様には、あのお客様のことももっと詳しく知りたいし…それに、旦那様のことも……
私が立ち入るような問題ではないことはわかっていたけれど、それでも、どうしても知りたかった。



 「かーちゃん!」

 「あ、サトシ君!」

 友達数人と自転車に乗ったサトシ君が、手を振って通り過ぎて行った。



 「おばちゃん……今の……あーーー!ピヨたんだぁ~!」

 「あ、小太郎ちゃん、走っちゃ危ないわよ!」

 小太郎ちゃんは、スーパーの前にいた地元のゆるキャラに向かって駆け出した。



 *



 「じゃあ、パパが起きてきたら、6時過ぎに花屋のおばちゃんが来てごはんを作るから、パパはゆっくり寝ててって言っといてね。
 大丈夫かな?ちゃんと言える?」

 「は~い!
 6時に花屋のおばちゃんが来るから、パパは寝とくんだよね?」

 「う~ん…
うん、それで良いわ。
じゃあ、それまでひとりで遠くに行っちゃだめよ。
 今日はお家で遊んでてね。」



やっぱりメモを書いておけば良かったかと考えながら、私は堤さんの家を出た。 
 
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