美しき微笑みのあの人に恋をした。

１１

（う～～ん……）



画面を見ながら、私はさっきから悩んでいた。



それはもちろんコメントについてのこと。
いざ書こうと思っても、どう書いたら良いのかわからない。



（あ、そうだ！）



私は、読書感想文の書き方を検索した。
なになに、読んで感じたこと、そして私見、最後にまとめ？
当たり前じゃない。
その書き方がわからないから困ってるのに。
第一、毎日１ページずつ読んで書くつもりだから、まとめは無理よね。
じゃあ、とりあえず、読んで感じたことだね。



（えーっと…何を感じたか…か。）



文字がいっぱい詰まってるから読みにくい。
難しい言葉があって分からない。
って、そんなんじゃなくて、ストーリーについてだよね？
書いてあったのは、大学を卒業した主人公が働き始めるところだから…
私は以前のことを思い出す。
主人公と同じように大学を卒業し、働き始めた時、私はどんなことを思ってたかな？



あ、そうだ！当日は寝坊して、とにかく必死で走ったんだ。
それしか覚えてない。
緊張感とか不安とかも多分あったんだろうけど、何もかも忘れて走ってたっけ。



あ、それだ！



『初出勤の緊張感や不安な気持ちが伝わってきました。』



うん、これで良い！
気持ちが揺らがないうちに、私はコメントを送信した。