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 「八重樫さん…一体、どこへ!?」

 私はタクシーに乗せられて、どこともわからないところへ連れて行かれた。
 八重樫さんは私の知らない駅の名前を言ったけど、目的はなかなか教えてくれない。



 「じきにわかります。
そう遠くじゃありませんから。」

 教えてくれそうになかったから、私は諦めて黙って座ってた。
そして、タクシーで20分程走ったところでタクシーは止まった。



 「こっちです。」

 八重樫さんはどんどん歩いて行って…
駅前のカフェに入って行った。
だけど……



「……おかしいな。」

 店内を見渡した八重樫さんはそう呟いて、そのカフェを出た。



 「ちょっとここで待ってて下さい。」

 私をベンチに座らせると、八重樫さんは慌ただしくどこかに走り去ってしまった。
 私はどこなのかもよくわからない場所でひとりっきり…
心細い想いで八重樫さんを待ってたら、それからしばらくして八重樫さんが駆け戻って来た。
その姿にほっとする。



 「お待たせしました。行きましょう。」

 「え?は、はい。」

 言われるままに、私は立ち上がり、足の速い八重樫さんに必死で着いて行った。

 
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