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土砂降りの雨の中で…
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(う~ん……)
僕は、窓の外を見て、何とも言えない気持ちになった。
今日は、山本さんと花菖蒲を見に行く。
先日、山本さんが店に来てくれた時、世間話のノリで花菖蒲園のことを話してみたら、信じられないくらいあっさりとOKしてもらえて…
僕は、飛び上がりたいような気持ちを押さえるのが大変だった。
夜は開園していないようなので、日曜日に行くことに決まった。
僕の店は、初めての臨時休業だ。
天気予報では、日曜日は曇り時々雨ということだった。
どうか、花菖蒲園では雨が降りますようにと毎日祈った。
その甲斐あってかどうなのか、日曜日は朝から雨。
しかも、土砂降りだ。
こんなお天気だから、また今度にしましょうと言われないかと心配だったけど、今のところ、連絡はない。
そう…今回、僕はようやく山本さんのLINEを教えてもらった。
考えてみれば、今までにも機会はあったのに、なかなかそこまで聞けなかったんだ。
教えてはもらったけれど、まだ送ったことはない。
あれこれ考えすぎて、何を送れば良いか、迷うから。
(さぁ、そろそろ出掛けるか…)
待ち合わせは、駅前のバス停だ。
「あ……」
ちょっと早めに来たっていうのに、もう山本さんは着いていた。
「遅れてすみません!」
雨の音がうるさいから声を上げてそう言った。
「いえ、待ち合わせの時間にはまだありますわ。」
今日の山本さんはいつもとどこか違う。
服装もいつもより華やかな色だし、顔つきも少し違うような気がする。
ピンクの傘のせいなのか、いつもよりたおやかな雰囲気でとても素敵だ。
「あ、バス来ましたね。」
ときめく胸をひた隠し、平静を装った。
二人掛けの椅子に並んで腰かけるだけで、またドキドキする。
「すみません。こんな土砂降りの日にお誘いして。」
「いいえ。私、雨は嫌いじゃないんです。
それに、今日はきっと人が少ないからゆっくり見られますね。」
彼女の前向きな言葉に、胸が弾む。
*
「まぁ、綺麗!」
土砂降りの花菖蒲園には誰もいなかった。
こんな日に、わざわざ花菖蒲を見に来るのは、よほどの変わり者だ。
そう思っていたら、カップルを二組発見した。
きっと、彼らもここの言い伝えを聞いて来たのだろう。
雨に打たれる花菖蒲は、なんだか可哀想な感じだ。
やっぱり晴れた日に来る方が綺麗だと思うけど、山本さんはそんなことは言わない。
けっこう広い園内をゆっくりと見て回り、帰る頃には足元はもはやびしょ濡れだった。
足は気持ち悪いけど、僕の心は達成感のようなもので満たされていた。
僕は、窓の外を見て、何とも言えない気持ちになった。
今日は、山本さんと花菖蒲を見に行く。
先日、山本さんが店に来てくれた時、世間話のノリで花菖蒲園のことを話してみたら、信じられないくらいあっさりとOKしてもらえて…
僕は、飛び上がりたいような気持ちを押さえるのが大変だった。
夜は開園していないようなので、日曜日に行くことに決まった。
僕の店は、初めての臨時休業だ。
天気予報では、日曜日は曇り時々雨ということだった。
どうか、花菖蒲園では雨が降りますようにと毎日祈った。
その甲斐あってかどうなのか、日曜日は朝から雨。
しかも、土砂降りだ。
こんなお天気だから、また今度にしましょうと言われないかと心配だったけど、今のところ、連絡はない。
そう…今回、僕はようやく山本さんのLINEを教えてもらった。
考えてみれば、今までにも機会はあったのに、なかなかそこまで聞けなかったんだ。
教えてはもらったけれど、まだ送ったことはない。
あれこれ考えすぎて、何を送れば良いか、迷うから。
(さぁ、そろそろ出掛けるか…)
待ち合わせは、駅前のバス停だ。
「あ……」
ちょっと早めに来たっていうのに、もう山本さんは着いていた。
「遅れてすみません!」
雨の音がうるさいから声を上げてそう言った。
「いえ、待ち合わせの時間にはまだありますわ。」
今日の山本さんはいつもとどこか違う。
服装もいつもより華やかな色だし、顔つきも少し違うような気がする。
ピンクの傘のせいなのか、いつもよりたおやかな雰囲気でとても素敵だ。
「あ、バス来ましたね。」
ときめく胸をひた隠し、平静を装った。
二人掛けの椅子に並んで腰かけるだけで、またドキドキする。
「すみません。こんな土砂降りの日にお誘いして。」
「いいえ。私、雨は嫌いじゃないんです。
それに、今日はきっと人が少ないからゆっくり見られますね。」
彼女の前向きな言葉に、胸が弾む。
*
「まぁ、綺麗!」
土砂降りの花菖蒲園には誰もいなかった。
こんな日に、わざわざ花菖蒲を見に来るのは、よほどの変わり者だ。
そう思っていたら、カップルを二組発見した。
きっと、彼らもここの言い伝えを聞いて来たのだろう。
雨に打たれる花菖蒲は、なんだか可哀想な感じだ。
やっぱり晴れた日に来る方が綺麗だと思うけど、山本さんはそんなことは言わない。
けっこう広い園内をゆっくりと見て回り、帰る頃には足元はもはやびしょ濡れだった。
足は気持ち悪いけど、僕の心は達成感のようなもので満たされていた。
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