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岡本家の日常

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「なつもちーかづーくはーちじゅうはーちや、よいよいと。」

 「なんやねん、急に。」

 「いや、そろそろ新茶の季節やなぁおもて。」

 「新茶なんか、いつも飲めへんやろ。」

 「そやなぁ。うちはそんなええしやないもんなぁ。」

エアコンの効いたリビングのソファーに寝そべりながら、兄弟がつまらない会話を交わす。



 「何をぶひぶひ言ってるんだ?」

 「わしらは豚か!」

 「おとんこそ、豚の大将やないか。」

 父親が、空いた所に同じようにソファーに寝そべる。



 「ごはんやで!はよ、おいで!」

 「暑いからいやや、焼けてから行くわ。」

 母親の誘いにも、三人は動こうとはしなかった。



 「ずぼら!そんなんやから、みんな肥えんねん!」

 「ちゃうちゃう、おかんが粉もんばっかり食べさせるからや。」

 「そうそう。僕もこっちに来るまではスマートだったじゃないか。
こっちに来て、粉もんばっかり食べさせられてこんな風になったんだからな。」

 「よう言うわ。あんたら粉もん大好きやんか。」



 「確かに。」
 「粉もん、最高!」
 「粉もんなかったら、生きていかれへん。」



 母親は汗をかきながら、大きなホットプレートでお好み焼きを焼く。
こてを使ってひっくり返す手つきも完璧だ。



 「あぁ、ええにおい…」

 長男が起き上がり、それに続いて次男と父親も立ち上がり、三人はのろのろとした足取りでテーブルに着いた。
ホットプレートの上には、モダン焼きが四枚、焼き上がっていた。
ソースの上には、マヨネーズがたっぷりとかけられている。



 「あぁ、あつ。
 一枚、1500円やで!」

 「高いわ!」

 「あほか、餅とチーズも入ってその値段はお得やろ!
それに、私の愛情もたっぷり入ってるしな。」

 「愛情いらんから、1000円にして。」



つまらないことを話しながら、四人は目の前のモダン焼きに食いついた。
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