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特別なイヴの日
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(はぁ~……)
深い深い溜め息が漏れた。
今日はクリスマス・イヴ。
家族たちにとっても、恋人たちにとっても、とても楽しみで幸せな日だ。
だけど、私は違う。
私にとって、クリスマス・イヴは寂しくて切ない日。
だって…
私の彼は、パティシエなんだもん。
お父さんと二人でケーキを作って、お母さんが接客をする。
まだ小さなお店だけど、ケーキはとっても美味しいし、評判の良いお店だ。
クリスマスは、彼が最も忙しい時期だから、とてもじゃないけどデートなんて出来ない。
イヴのお昼に、お店にケーキを取りに行って、その時、ほんの一言二言話すだけ。
彼と付き合い始めてから、いつもそう。
私は、家にケーキを持って帰り、ひとりでそれを食べる。
寂しいけど、彼が真心を込めて作ったケーキだから、それが食べられるだけでも幸せだ…なんて、自分に言い聞かせて…
だけど、今年はそんなささやかな楽しみさえない。
「ごめんな、今年はケーキあげられないんだ。」
なんでも、去年以上に注文があったから、今年は無理なんだって。
とりあえず、電話するから家にいてって…
言われなくても、イヴにひとりで外出なんてする気もないよ…
外出どころか何もする気になれず、私は、一日中、ベッドの中でうだうだしてた。
夕方近くになったその時、電話の着信音が鳴った。
彼からだ。
「春香、今から1時間後、〇〇の駅で待ってるから。」
「え?」
「じゃあ、あとでな。」
「え?な、なに?」
1時間後に〇〇駅…?
ええっ!?そんなの間に合わない。
まだ顔も洗ってないのに…
私は飛び起き、まるでビデオの早回しのように準備をした。
どうしたんだろう?
あ、もしかしたら、ケーキを持って来てくれるんだろうか?
それなら、言ってくれればお店まで取りに行くのに…
そんなことを考えながら、私はとにかく猛スピードで準備を整え、家を飛び出した。
*
「ご、ごめん。」
「……大丈夫だよ。」
急いだけど、10分遅刻した。
でも、彼は少しも怒ることなく、笑っていた。
「ど、どうしたの?お店は?」
「ちょっと前から一人パティシエが入ってくれたんだ。
だから、早めに出て来れた。」
「え?」
「……ずっと気になってたんだ。
イヴに会えないことが…
だから、今日は無理言って早めにあがらせてもらった。」
「……俊!」
俊はずっと考えていてくれた…私の寂しい気持ちを案じててくれた…
彼の言葉に胸がいっぱいになり、私は思わず彼に抱き着いていた。
深い深い溜め息が漏れた。
今日はクリスマス・イヴ。
家族たちにとっても、恋人たちにとっても、とても楽しみで幸せな日だ。
だけど、私は違う。
私にとって、クリスマス・イヴは寂しくて切ない日。
だって…
私の彼は、パティシエなんだもん。
お父さんと二人でケーキを作って、お母さんが接客をする。
まだ小さなお店だけど、ケーキはとっても美味しいし、評判の良いお店だ。
クリスマスは、彼が最も忙しい時期だから、とてもじゃないけどデートなんて出来ない。
イヴのお昼に、お店にケーキを取りに行って、その時、ほんの一言二言話すだけ。
彼と付き合い始めてから、いつもそう。
私は、家にケーキを持って帰り、ひとりでそれを食べる。
寂しいけど、彼が真心を込めて作ったケーキだから、それが食べられるだけでも幸せだ…なんて、自分に言い聞かせて…
だけど、今年はそんなささやかな楽しみさえない。
「ごめんな、今年はケーキあげられないんだ。」
なんでも、去年以上に注文があったから、今年は無理なんだって。
とりあえず、電話するから家にいてって…
言われなくても、イヴにひとりで外出なんてする気もないよ…
外出どころか何もする気になれず、私は、一日中、ベッドの中でうだうだしてた。
夕方近くになったその時、電話の着信音が鳴った。
彼からだ。
「春香、今から1時間後、〇〇の駅で待ってるから。」
「え?」
「じゃあ、あとでな。」
「え?な、なに?」
1時間後に〇〇駅…?
ええっ!?そんなの間に合わない。
まだ顔も洗ってないのに…
私は飛び起き、まるでビデオの早回しのように準備をした。
どうしたんだろう?
あ、もしかしたら、ケーキを持って来てくれるんだろうか?
それなら、言ってくれればお店まで取りに行くのに…
そんなことを考えながら、私はとにかく猛スピードで準備を整え、家を飛び出した。
*
「ご、ごめん。」
「……大丈夫だよ。」
急いだけど、10分遅刻した。
でも、彼は少しも怒ることなく、笑っていた。
「ど、どうしたの?お店は?」
「ちょっと前から一人パティシエが入ってくれたんだ。
だから、早めに出て来れた。」
「え?」
「……ずっと気になってたんだ。
イヴに会えないことが…
だから、今日は無理言って早めにあがらせてもらった。」
「……俊!」
俊はずっと考えていてくれた…私の寂しい気持ちを案じててくれた…
彼の言葉に胸がいっぱいになり、私は思わず彼に抱き着いていた。
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