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「えっ、なんで!?」
目を丸くする私に、彼は困ったような顔で微笑んだ。
彼が私に差し出しているのはピカピカのスマホ。
「ごめん…実は、俺、転勤になったんだ…」
「えっ!て、転勤?ど、どこに?」
そりゃあびっくりしたけど…
でも、それよりも気になるのは彼が手にしてるスマホ。
私も彼もいまだにガラケーユーザーで…つい先日まで、彼は確かにガラケーを使ってた。
「○○だよ。」
「えっ!そんな遠くに!?」
気持ちが変わった。
やっぱりスマホより転勤の方が気になってきた。
「それで、スマホに機種変した。」
「どういうこと!?」
私は反射的に質問した。
「だって、これからは遠距離になるんだぜ。」
「それとスマホに何の関係があるっていうの?
ガラケーだってメールも電話も出来るじゃない。」
「LINEなら電話がタダなんだぜ。」
「あ……」
ガラケーだけど、私だってそのくらいは知ってる。
スマホの人はほとんどみんなLINEを使ってるってことも。
「でもさ、タダなんだから、雑音が入ったりするんじゃないの?」
「そんなことはないと思うけど…」
「だいたい、今までだって、そんなに長電話したことなかったじゃない。」
「それはしょっちゅう会えてたからだろ。
これからは滅多に会えなくなるんだから、電話も長くなるだろ。」
「電話なんてしなくてもメールで十分だよ。」
「えらく冷めてるんだな。」
「そういう意味じゃないけど…」
気まずい…
っていうか、なんだか腹が立ってきた。
転勤のこともだけど、勝手に機種変なんかして…
「○○にはいつ行くのよ?」
「……明日。」
「そう…えっ!あ、明日!?」
「7月7日。ダブルラッキーセブンだ。ツイてるよな!」
そうじゃないだろ。
明日は七夕。
年に一回、織姫さんと彦星さんが会える日に、私達は離れ離れになるのか…なんたる皮肉…
「私、スマホになんて変えないからね!」
「そう…じゃあ、勝手にすれば?」
開き直った彼の顔…
悔しい、悲しい、寂しい、辛い…
つまらない意地を張ったまま、私は家に帰ってきた。
すると、メールの着信音が鳴った。
『これ、向こうの住所。』
馬鹿…
こんなの見たら余計に寂しくなるよ。
その晩、私は柄にもなく泣き明かした。
*
「じゃあ、気を付けてね。」
「あぁ、ありがとう。」
「悟…これ。」
私は、彼にスマホを見せた。
「あ…機種変したんだ…」
「悟と長電話したいから。」
「良かった…」
「ねぇ、次に会えるのは一年後……かな?」
「なんでだよ。お盆休みには帰ってくるよ。」
「えっ!本当に?」
「当たり前だろ。なんで一年後だなんて思うんだよ。」
そっか。彼にとっては今日はただのダブルラッキーセブンなんだ。
「LINE、私、わからないから教えてよ。」
「うん…でも、実は俺もまだよくわかってないんだ。
あっ!やばっ!」
発車のベルが鳴り響き、彼は新幹線に飛び乗った。
なんて愛想のない別れ。
でも、いっか…
これからは、しょっちゅう長電話出来るんだし…
滑るように走り出した新幹線に、私は小さく手を振った。
目を丸くする私に、彼は困ったような顔で微笑んだ。
彼が私に差し出しているのはピカピカのスマホ。
「ごめん…実は、俺、転勤になったんだ…」
「えっ!て、転勤?ど、どこに?」
そりゃあびっくりしたけど…
でも、それよりも気になるのは彼が手にしてるスマホ。
私も彼もいまだにガラケーユーザーで…つい先日まで、彼は確かにガラケーを使ってた。
「○○だよ。」
「えっ!そんな遠くに!?」
気持ちが変わった。
やっぱりスマホより転勤の方が気になってきた。
「それで、スマホに機種変した。」
「どういうこと!?」
私は反射的に質問した。
「だって、これからは遠距離になるんだぜ。」
「それとスマホに何の関係があるっていうの?
ガラケーだってメールも電話も出来るじゃない。」
「LINEなら電話がタダなんだぜ。」
「あ……」
ガラケーだけど、私だってそのくらいは知ってる。
スマホの人はほとんどみんなLINEを使ってるってことも。
「でもさ、タダなんだから、雑音が入ったりするんじゃないの?」
「そんなことはないと思うけど…」
「だいたい、今までだって、そんなに長電話したことなかったじゃない。」
「それはしょっちゅう会えてたからだろ。
これからは滅多に会えなくなるんだから、電話も長くなるだろ。」
「電話なんてしなくてもメールで十分だよ。」
「えらく冷めてるんだな。」
「そういう意味じゃないけど…」
気まずい…
っていうか、なんだか腹が立ってきた。
転勤のこともだけど、勝手に機種変なんかして…
「○○にはいつ行くのよ?」
「……明日。」
「そう…えっ!あ、明日!?」
「7月7日。ダブルラッキーセブンだ。ツイてるよな!」
そうじゃないだろ。
明日は七夕。
年に一回、織姫さんと彦星さんが会える日に、私達は離れ離れになるのか…なんたる皮肉…
「私、スマホになんて変えないからね!」
「そう…じゃあ、勝手にすれば?」
開き直った彼の顔…
悔しい、悲しい、寂しい、辛い…
つまらない意地を張ったまま、私は家に帰ってきた。
すると、メールの着信音が鳴った。
『これ、向こうの住所。』
馬鹿…
こんなの見たら余計に寂しくなるよ。
その晩、私は柄にもなく泣き明かした。
*
「じゃあ、気を付けてね。」
「あぁ、ありがとう。」
「悟…これ。」
私は、彼にスマホを見せた。
「あ…機種変したんだ…」
「悟と長電話したいから。」
「良かった…」
「ねぇ、次に会えるのは一年後……かな?」
「なんでだよ。お盆休みには帰ってくるよ。」
「えっ!本当に?」
「当たり前だろ。なんで一年後だなんて思うんだよ。」
そっか。彼にとっては今日はただのダブルラッキーセブンなんだ。
「LINE、私、わからないから教えてよ。」
「うん…でも、実は俺もまだよくわかってないんだ。
あっ!やばっ!」
発車のベルが鳴り響き、彼は新幹線に飛び乗った。
なんて愛想のない別れ。
でも、いっか…
これからは、しょっちゅう長電話出来るんだし…
滑るように走り出した新幹線に、私は小さく手を振った。
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