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(あ、あの服...ガッキーに似合いそう...)
今日は、靴を買うつもりだった。
さんざん履いてたら、底が擦り切れてたから。
いくら何でももう履けない。
だけど、相変わらず、選ぶのは苦手だ。
何軒か見て決まらないまま、私は、中庭のベンチに座った。
(やっぱり、お母さんについてきてもらえば良かったかなぁ。)
お母さんも働いてるから、休みの日はゆっくりしてほしくて、それでひとりで出て来たんだ。
(さっきの1000円のやつ、買おうかな。
安い割にはまぁまぁ良さげだったし。)
「隣に座らせていただいても良いですか?」
声のした方に顔を上げた私は、心臓が止まりそうになった。
「ど、どうして......」
だって、そこには遼が立ってたんだもん。
少し痩せて前よりも精悍な感じにはなっていたけど、間違いなく遼だ。
(これって、夢?幻覚?)
「会いたかったよ。」
遼は私の隣に腰を降ろして、私の手を握り締めた。
その手の温もりは、夢でも幻覚でもないことを私に教えてくれた。
自然に涙が溢れ出る。
「遼......」
「探すの大変だったんだよ。」
探してくれたんだ。
いきなり居なくなった私を。
でも、どうして今頃?
今日は、靴を買うつもりだった。
さんざん履いてたら、底が擦り切れてたから。
いくら何でももう履けない。
だけど、相変わらず、選ぶのは苦手だ。
何軒か見て決まらないまま、私は、中庭のベンチに座った。
(やっぱり、お母さんについてきてもらえば良かったかなぁ。)
お母さんも働いてるから、休みの日はゆっくりしてほしくて、それでひとりで出て来たんだ。
(さっきの1000円のやつ、買おうかな。
安い割にはまぁまぁ良さげだったし。)
「隣に座らせていただいても良いですか?」
声のした方に顔を上げた私は、心臓が止まりそうになった。
「ど、どうして......」
だって、そこには遼が立ってたんだもん。
少し痩せて前よりも精悍な感じにはなっていたけど、間違いなく遼だ。
(これって、夢?幻覚?)
「会いたかったよ。」
遼は私の隣に腰を降ろして、私の手を握り締めた。
その手の温もりは、夢でも幻覚でもないことを私に教えてくれた。
自然に涙が溢れ出る。
「遼......」
「探すの大変だったんだよ。」
探してくれたんだ。
いきなり居なくなった私を。
でも、どうして今頃?
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